「明星は追いかけなくていいの?」


口ぶりから怪我は大丈夫なんだろうと判断し、話しかける。


「あぁ。

族長からはお前を守るようにっても言われてるからな」


明星は、あーやれやれ、とか言いながら、畳の上にごろりと寝転がる。


「しっかしあれも今わざわざ逃げなくてもいいのになぁ」


「どういうこと?」


今寝転がったばかりなのに明星は起き上がり、体の後ろに手をついてこちらを見る。


「だって、あいつの寿命もうちょっとなんだぜ。

今日いざこざ起こしてもしょうがないだろ。

お前のところの、秀だっけ?

あの鬼の子が正式に牢屋に入る頃にあいつは死ぬ。

今までもそうだったから鬼の子用の檻は一つしかないんだ」


それは、どういう意味だ。

そんな都合のいいことがあるのか。