「ちょっと!明星!

どうしたの!?」


「どうしたもこうしたもねぇよ。

隊長、あれが逃げた」


明星の傷の具合を確かめていた月浦さんがはっとした様子で明星の顔を見つめた。


「他の者たちは?」


「ダメだ。全員倒れてる。

今族長が追ってる」


「どちらに逃げたのです」

「わかんねぇ。

森の奥に行ったとこまでは見たんだけど、族長に隊長を呼んでこいって言われたから……」


月浦さんは軽く舌打ちをし、私に向かって「話はまた今度」と言って森の奥に向かって走っていった。