「そう、ですか。

だから、甚郎さんはカラス族を嫌っているんですか?

以前たった一度猫族が過ちを犯した相手がカラスだった、というだけで?」


「そうでしょうね」


月浦さんはまたもあっさりと言う。


「なんか、ひどくないですか?

だって、それは個人の問題で、種族の問題じゃないと思うし」


軽く頷きながら私の話を聞いてくれる月浦さん。


「それに、人を好きになることって罪じゃないでしょう?」


少しずつほぐれていっていた空気がまた冷たくなった。

な、何。

私何かまずいこと言ったか。


「人を好きになるのは罪じゃない、ですか」


月浦さんが私の言った言葉を繰り返す。

その声があまりに低く、暗かったために私は思わず息を呑む。