今まで目の前にいたのに、カナ爺はいつの間にか鉄治さんの隣に移動していて、鉄治さんの頭をパシーンと叩いた。


「そういうことではないわ!

というか、そういうことをわざわざ言わんでいいんじゃ!」


低レベルな話だった。

2人はにらみ合い、ファイティングポーズをとっている。


「なんじゃ!やる気か?

今でも負けんぞ」


「やらんわ!

ばかばかしい」


「負けるのが怖いんじゃろう。

ワシもまだまだ強いからのぅ」


「そういうことではない!」

散っている火花が見えるようだが、小さいおじいちゃんと狸のにらみ合いでは、それほど迫力はない。

私は噴出さないよう一生懸命だったのだが、秀は心配そうに二人を見ており、私の袖を引っ張る。