【漫画シナリオ】金髪ヤンキーは私の幼なじみ

◯高校、入学、春、朝
紗代が入学した桜ヶ丘第一高校
桜が咲き、風で花びらが舞っている

【高校に入学した私は、幼なじみの神谷悠人を探していた。】

たくさんの高校生がわいわいと話している
紗代が悠人を探している
高校の制服を着ている紗代
新1年生らしい爽やかで初々しい感じ
髪を下ろしている(高校に入って髪型変えた)

【悠人は目がくりっとして可愛い男の子。運動はそんなに得意じゃないけど、勉強ができる自慢の幼なじみだった。】

◯(回想1)小学生時代、公園のベンチ、夕方
・ベンチに並んで座る小学生時代の悠人と紗代
・二人の身長は同じくらい
・紗代はみかんゼリー、悠人はプリンを食べている
・学校であったことを話している
・ほのぼのした情景

【私と悠人は、家が近所ということもあって、昔からよく遊んでいた。それは中学校に入っても変わらなかった。】

〇(回想2)中学時代、通学路(下校中)、夕方
・紗代と悠人が並んで歩いている、悠人の身長が高い
・紗代はセーラー服、悠人は学ラン、2人ともカバンを持っている
・紗代は髪を2つにしばっている
・悠人に微笑みかけられて、ちょっと照れる紗代

悠人「紗代は桜ヶ丘第一だよな?」
紗代「うん。悠人は?」
悠人「俺も。」
紗代「そうなの!?てっきりモデルか芸能界にでも行くのかと思ったよ。」
悠人「ははは。紗代はそればっかりだな。」

【中学生になって悠人は身長がぐんと伸びた。可愛い印象だったのに、すごくカッコよくなってしまって、私はちょっと動揺していた。恥ずかしさをごまかすために、私は悠人をよく揶揄っていた。】

悠人「頑張れよ?今のままだと危ないかもしれないからな。」

・悠人はちょっと上から目線で言う
・紗代は慌てる

紗代「わかってるよ!」

・紗代は悠人をどつく
・大袈裟に痛がる悠人
・笑いながら2人で帰っていく
・徐々に2人の姿が遠ざかっていく

【悠人は成績が良かったから違う高校だと思ってた。私は悠人と同じ高校に行けることを楽しみにしていた。それなのに──】

◯(回想3)紗代の家、休日の昼
【悠人は突然引っ越してしまった。】

紗代「悠人くん家、引っ越しちゃったんだね……」
紗代の母「色々大変だったみたいよ。」

・紗代の母は話したがらない
・紗代は肩を落とす
・母が悠人の家ことを話したがらないため、紗代は良くない理由だと感じる

◯(回想4)悠人の家があった場所(紗代の家から数件先)
【ちょっとした豪邸として近所で有名だった悠人の家は、いつの間にか壊されて更地になり、】

・悠人の家がショベルカーなどの重機によって壊されて更地になる
・更地にアパートが建設されていく

【その場所には新しいアパートが建った。】

・中学生の紗代はアパートの建設現場を横目に通学している
・季節が夏、冬、春と流れていく

(回想終了)

◯(冒頭と同じ場面)高校、春、登校後の時間
【悠人はどこへ引っ越したのかわからない。きっと違う高校へ進学したのだろう。】

紗代「いるわけないよね……」

悠人を探していた紗代はため息をつく
探すのをやめて足を止める
紗代が俯くとヤンキーの声が聞こえてくる

声のみ「あざーっす!」

紗代は驚いて顔を上げる

◯校舎の前、人気のない場所、登校後の時間
赤い短髪の男子高校生(男A)と金髪と黒髪が半々になった髪型の男子高校生(男B)が金髪の男子高校生に向かって頭を90°に下げている
金髪の男子高校生は悠人
身長が高く、威圧感がある、金髪は少し長め
悠人は男2人を見ておらず、気だるげにカバンを片手で肩に担いでぼーっとしている(実は紗代を探している)
紗代は3人のヤンキーを見てギョッとする

紗代(げっ、この学校、ヤンキーいるの!?聞いてないんだけど!)

悠人がちらりと紗代を見る

紗代(ぎゃぁぁぁぁぁ!!)

ダッシュで逃げる
校舎へ向かって走る紗代

紗代(見られた!ヤンキーに見られた!おしまいだぁぁぁぁ!)

走り去る紗代
悠人は紗代だとわかってふっと笑う
男Aと男Bは頭を下げたままで、悠人が笑ったところを見ていない
男Aと男Bは頭を下げたまま話す

男A「悠人さんと同じ高校なんて光栄っす!」
男B「まじで光栄っす!」
悠人「うざ。」
男A男B「さーせん!」

悠人は男2人を無視して校舎へ向かって歩き出す
男A男Bは悠人がいなくなっても、90°に頭を下げたまま止まっている
風で桜の花びらが飛んでくる

それとなく紗代を追いかける悠人
◯学校の中(廊下)、朝
紗代「怖かった……」

紗代は自分の教室へ向かって歩いている
走ったために少しだけ息が上がっている

〇教室、朝
教室ではほとんどの生徒が着席している
教室の後ろに空席を2席見つける(後ろの扉の近く)
確認して席に座り、隣の席(空席)を見る

紗代(お休み?かな……)

教室の後ろの扉がガラガラと言う音を立てて勢いよく開く
金髪の男子高校生(悠人)がヤンキーらしく横柄な態度で入ってくる
白目になる紗代①

紗代(嘘でしょぉぉぉ!同じクラスってこと!?)

悠人はズカズカと教室に入ってきて、迷わず紗代の隣の席(空席)へ向かう
カバンをバンッと乱雑に置き、椅子にどかりと座る悠人にビビる紗代
白目になる紗代②

紗代(まじかぁぁぁぁ!)

紗代はぐったりとして机に突っ伏してしまう
紗代が放心している間に担任の先生が教室に入ってくるが、紗代は気づいていない
先生が教壇に立ち出席確認を開始、生徒の名前を読み上げていく

先生「神谷悠人。」
悠人「……はい。」
紗代「え?」

紗代は驚いて顔を上げる
隣を向くと悠人と目が合ってしまう

紗代(ひぃぃぃぃ!)

紗代は慌てて目を逸らす、頭の中が混乱する
悠人は気にしていない

紗代(どういうこと!?神谷悠人って呼ばれて返事したよね!?この人が悠人ってこと!?いや、そんなことない。絶対違う!ぜっっったい違う!)
紗代(私が探してる神谷悠人はこんな金髪のヤンキーじゃないんだから!)

頭が混乱する紗代、先生の声が聞こえていない
先生の出席確認は止まることなく進む

先生「土田紗代。」
紗代(違う!絶対違う!悠人じゃない!)
先生「土田?」
紗代(私の悠人はどこに行ったのよ!)
先生「……」

悠人「呼ばれてんぞ。」
紗代「へ?」

悠人はあごで先生を見ろと伝える
紗代が先生の方に顔を向けると先生は険しい表情

紗代「はいっ!すみません!」

教室の中に笑いが起きる
先生は出席確認を続行する

【私の高校生活は前途多難なようだ。】

悠人の顔が少しだけ緩む
紗代は気づいておらず、やってしまったと頭を抱える
◯教室、授業中
紗代の机には教科書、ノート、筆記用具がある
他の生徒も授業を受けている

【隣の席にいる金髪ヤンキーが、幼なじみの神谷悠人なのか。いまだに確認できていない。】

隣の席の悠人は机に突っ伏して寝ている
悠人を見る紗代

紗代(本当に悠人なのかな……)

悠人を見過ぎて「よそ見をするな」と先生から注意を受けてしまい、ぎくっとする紗代
小さな声で「すみません」と言う

【なぜなら、ヤンキーに話しかける勇気がないからだ。】

◯教室、休み時間
気だるげに座る悠人の席を3人のヤンキーが取り囲んでいる
以前見た時より子分が1人増えている
悠人が親分のような雰囲気
ヤンキーたちは悠人に対してペコペコ頭を下げている
教室内では異質に見られており、クラスメイトは離れて見てる
紗代は窓際で大袈裟に距離を取っている(悠人と取り巻きが怖い)

◯校舎の外、下校時間、夕方
悠人に向かって頭を下げるヤンキー4人を紗代が見かける
紗代は(また増えてる……)と思う
ヤンキーたちは「あざーっす」と「さーせん」を連発している
基本的にペコペコしている
悠人はだるそうでヤンキーたちを見ていない

紗代「聞けないよなぁ……」

紗代はヤンキーたちに気づかれないようにそーっと通り抜けて校門へ向かう
悠人はヤンキーたちを見ておらず、校門へ向かう紗代を目で追う

◯教室、朝
【そして、隣の席の神谷悠人が幼なじみの神谷悠人なのか確認できないまま、】

紗代は扉を開けて教室に入り、カバンを置く
悠人はいない

【彼は学校に来なくなってしまった。】

授業を受ける紗代
悠人の席は空席のまま
◯学校の保健室、午前中
保健室の椅子に座る紗代
少し熱がありぼーっとしている
保健室の先生(先生2)が体温計を持って立っている

先生2「土田さん、熱があるから早退した方がいいわ。お家の方に電話してくるわね。」
紗代「先生、待ってください!」

保健室の先生がドアへ向かうのを呼び止める紗代
保健室の先生が振り返る

紗代「うちの親、仕事なんで、自分で帰ります。」
先生2「大丈夫なの?」
紗代「まだ歩けます。待ってても来てもらえないんで。」

おどけたように笑う紗代
保健室の先生は心配そうな顔をする

保健の先生からカバンを受け取る
→先生に帰る準備してもらった

先生2「気をつけてね。」
紗代「ありがとうございました。」

保健室を出て、学校を出る
熱っぽいため俯き加減、少し頭痛がしており、頭を押さえる

◯通学路、早退のため下校、午前中
紗代「朝はなんともなかったのにな……」

人通りのある商店街をとぼとぼ歩く紗代
商店街を抜けて住宅街に入っていく

しばらく歩いていくと、遠くにしゃがんでいる悠人が見える
悠人の姿を目に留めてギクっとする紗代
足が止まる

紗代(神谷悠人だ……!!)

悠人の周りに取り巻きのヤンキーがいないか見回すが、それらしい人はいない

悠人は街路樹の近くにしゃがんでいる
街路樹の後ろに何かいるっぽい
悠人は紗代に気づいていない

紗代(こんなところで何してるんだろう……)

紗代は静かにゆっくり悠人に近づいていく
街路樹の影に子猫がいるのが見える
悠人は学校では見たこともないような笑顔で子猫を撫でていた
紗代に気づいた悠人が紗代の方を向く
→紗代にはこの動作がスローモーションに見える

紗代の視界が真っ暗になる

【私は見てはいけないものを見てしまったのかもしれない。】
◯アパートの一室、悠人の部屋、昼
ベッドで横になる紗代
おでこにタオルがある
目を開けると、天井のシンプルな照明が見えてくる
視界がぼんやりして体がだるい、熱がある

悠人「大丈夫か?」

声がして驚いて顔を向ける紗代
悠人がキッチンから紗代の方へ歩いてくる

紗代「ひぃっ!」
悠人「変な声出すな。ほらよ。」

悠人は紗代のおでこに氷嚢を乗せる
ビビりながらもそのまま受け取る

悠人「体調が悪いなら休め。」

悠人は紗代の布団を掛け直す
紗代は金髪ヤンキーが悠人だと確信していないため困惑する

紗代「あの……ここは……どこなんですか?」

悠人は一瞬驚いた顔をして、その後吹き出す
くすくす笑いからそのうち声を出して大笑いする
笑いすぎて涙が出てしまい、悠人は涙を指で拭う

悠人「お前さ、本当にわかんねーの?ははは。」

頭の中に中学時代の悠人の笑顔が浮かび、目の前にいる悠人とリンクする
紗代は悠人の顔を見て泣きそうになる

【私は泣きそうになった。】

悠人は声を出して笑い続けている

【金髪なのも、声が低いのも、妙に色気があるのも違うけど、その屈託のない笑顔を私はよく知っていた。】
〇アパートの一室、悠人の部屋、昼(前話と同様)
紗代はタオルと氷嚢を手に持ってゆっくり体を起こす
悠人はそれに気づいて手伝ってくれる

紗代「本当に悠人なんだね……」
悠人「気づかねーのも無理はねーけどな。」

悠人はベッドの淵を背にして床に座る
紗代に背を向けて座っている
紗代からは悠人の横顔が見える

沈黙が5秒くらいある

悠人「親が離婚して、急に引っ越さなきゃいけなくなった。転校した先の中学がめちゃくちゃ荒れててさ。これはその結果。」

悠人は金髪の毛先を持ち上げる

悠人「転校してやられっぱなしのときはキツかったけど、お前に無視される方がキツいわ。」
紗代「仕方ないでしょ。全然違うんだから。」
悠人「まーな。」

俯く紗代
少しだけ沈黙の時間がある

悠人「なぁ、紗代?」

思わせぶりに悠人が振り返る
紗代は小さくビクッとする
中学時代とは違う悠人の色気を感じる

紗代(今まで名前で呼ばれてもなんとも思わなかったのに!どうしてそんなに優しく囁くのよ!)

悠人は紗代をじっと見つめてくる
紗代はドキドキしてくる

紗代(な、何!?なんなの!?)

見つめてくる悠人から目を逸らすことができない紗代
悠人はジリジリ紗代に近づいてくる

紗代(待って待って!この展開って!!?)
紗代は目をつぶってしまう