紗奈「え?」
紗奈、引いた顔で聞き返す。
南沢「嘘嘘、物は試しで言ってみただけ! そうだな〜、うーん。 考えとくわ!」
紗奈「え、飲み物買いに行くとかでもいいんですよ!」
南沢「その使い方はもったいないから、とっとく」
紗奈「え〜、なんか怖いなぁ。私が出来る範囲ですからね!」
南沢「はいはい!」
○住宅街・路上(夕方)
紗奈と南沢、紗奈の自宅に向かって歩いてる。
紗奈「駅までで大丈夫なのに……」
南沢「紗奈ちゃんがどんな街で育ったのか興味あるし」
紗奈「何にもない街ですよ。南沢先輩の地元はどんなところなんですか?」
南沢「母親が再婚する中学までは、山口に住んでたんだよね。めっちゃ田舎だけど、自由に使える山があって、ばあちゃんも友達もいて、俺のホームって感じだったかな」
南沢、遠くを見つめる。
紗奈「へー……。大切な場所だったんですね」
紗奈、切ない表情になる。
南沢「まぁ、こうして紗奈ちゃんに会えたから、こっちに来れて結果オーライだけど!」
紗奈、微笑んだ後、思い出した顔をして、
紗奈「そういえば先輩、受験生ですよね? 遊んでていいんですか?」
南沢「あ。俺、東京の私大、指定校で決まってるから」
紗奈「なんか、っぽいです」
南沢「どういう意味? いい意味だよね?」
南沢、紗奈に顔を近づける。
紗奈「いい意味です、いい意味です」
紗奈、適当にあしらう。
紗奈「ん? じゃあなんで、遠距離になるのに告白しようと思ったんですか?」
紗奈、きょとんとする。
南沢「それくらい、紗奈ちゃんの顔面が好きだから!」
紗奈「本当にその発言、人によっては嫌われますよ! でも、だから、今気兼ねなくいれるんですけどね」
紗奈、くすっと笑う。
南沢、切ない表情を浮かべる。
紗奈「あ、お家ここです。送ってくれてありがとうございました」
紗奈と南沢、アパートの前で立ち止まる。
南沢「今日は楽しかった、ありがとう! また明日!」
紗奈「はい、先輩もお気をつけて!」
軽く手を振り合う紗奈と南沢。
バイト帰りの壮平、2人の姿を遠くから見つける。
南沢、紗奈の頭をポンポンしてから帰って行く。切ない表情を浮かべて1人で帰る。
紗奈、自宅の鍵を開け、ドアを引こうとする。
「ドン!」
壮平、紗奈の背後からドアを片手で押さえ、開かないようにする。
壮平「待てよ!」
紗奈、後ろを振り返る。
紗奈「壮平、どうしたの?」
壮平「どうしたのじゃねぇよ」
紗奈「何が?」
紗奈、きょとんとしながら壮平を見つめる。
壮平「南沢と一緒にいただろ」
紗奈「あっ。あのね、壮平。壮平には言ってなかったんだけど、今南沢先輩とお試しで付き合ってるの」
紗奈、目を逸らして俯きながら話す。
壮平「(怒り気味に)は?」
紗奈「だからその、私も将来のことを考えたら色々不安な気持ちになって、人とお付き合いするっていうのはどういうものなのか経験してみたいと思って」
壮平「俺でいいじゃん」
壮平、真顔で詰め寄る。
紗奈「だから、壮平とはいつか関係が壊れるかもしれない仲になるのは嫌だから、幼馴染のままがいいの」
壮平「俺は、紗奈が他の奴に触れられるくらいなら、今の幼馴染の関係なんていらない。紗奈と一緒にいられるならずっとこのままでもいいと思ってたけど、他の奴のものになるくらいなら、こんな関係、壊れていい。しんどい!」
壮平、紗奈にキスをする。
驚く紗奈。
壮平、隣の自分の家の中に入る。
紗奈、力が抜け、玄関のドアの前にしゃがみ込む。
顔を赤くして口元を抑える紗奈。
○壮平の自宅・玄関の中
壮平、玄関の前にしゃがみ込み、頭を抱える。
○壮平の自宅前・登校前(朝)
制服姿の紗奈、廊下で壮平を待っている。
紗奈M「朝が来てしまった。どんな顔して会えばいいんだろう」
紗奈、スマートフォンのロック画面に映る時間を確認する。
紗奈M「遅いなぁ。やっぱり怒ってるかな」
紗奈、インターフォンを押す。
「ピンポーン」
応答がない。
紗奈M「先に行かれちゃったか」
紗奈、しゅんとした表情で1人学校へ向かう。
○学校・廊下(休み時間)
紗奈と恵、教科書を持って移動教室へ向かっている。
向かいから壮平と複数の友達が歩いてくる。
紗奈、壮平が前から近づいてきた時に、手を控えめに上げながら
紗奈「壮平、おはよ……」
壮平、目も合わせず無視をして隣を通り過ぎる。
紗奈、上げていた手をゆっくり下ろす。沈んだ表情。
恵、心配した表情で紗奈を見ている。
○コンビニ・壮平のバイト先(夕方)
レジの前に立っている壮平。
紗奈「これください」
紗奈、カウンターに板チョコを置く。
壮平、目も合わせず、
壮平「120円になります」
紗奈、お金を出す。
壮平「400円のお返しです、ありがとうございました」
壮平、無愛想な表情で喋る。
紗奈「あの、待っててもいいかな?」
壮平「……今日夜の9時までなんで」
紗奈「待ってる!」
壮平「店に居座られても迷惑なんで」
壮平、目を合わせず淡々と話す。
紗奈「そっかぁ、ごめんね。頑張ってね! じゃあ」
紗奈、しゅんとした顔で帰って行く。
壮平、紗奈の後ろ姿を見ながら頭を掻く。
○紗奈の自宅・紗奈の部屋(夜)
紗奈、ベッドに横たわっている。
紗奈「(浮かない顔で)私のせいだ」
紗奈のスマートフォンが鳴る。画面に「南沢蓮」と表示されている。
紗奈、ベッドに座り直して電話に出る。
南沢、自分の部屋から電話をかけている。
紗奈「もしもし」
南沢「今大丈夫?」
紗奈「はい」
南沢「明日どこ行くー? 駅前のカフェもいいなぁって思ってるんだけど、でもクレープも食べたいって言ってたよね?」
紗奈「……」
紗奈、上の空。
南沢「紗奈ちゃん?」
紗奈「あっ、はい、すみません! 行きたいです、カフェ!」
南沢「なんかあった? 元気ない気がする」
紗奈「うーん……、はい。壮平と最近上手くいってなくて……。幼馴染って難しいですよね」
南沢「ふーん。紗奈ちゃんがどうしたいかじゃない?」
紗奈「私がどうしたいか……」
南沢「うん。“どうした方がいいか”じゃなくて、“どうしたいか”」
紗奈「どうしたいか……」
南沢「まぁ俺は、紗奈ちゃんが出した答えを、全力で応援するよ」
紗奈「ありがとうございます」
南沢「だから、俺が立ち止まった時には紗奈ちゃんも全力で応援してくれる? あ、これ、この間の卓球勝負のお願い事にしようかな!」
紗奈「任せてください! 私、中学の時に応援団やってたので応援は得意です!」
南沢「応援団入ってたの? 意外すぎる」
笑い合う、紗奈と南沢。
○学校・教室(昼休み)
紗奈と恵、教室でお菓子を食べている。
紗奈、目が潤んで咳が出ている。
恵「風邪ひいた? ごめん、私の風邪移しちゃったかもしれない」
紗奈「ううん、そんなことないよ。すぐ治るから大丈夫!」
「ゴホゴホ」紗奈の咳。
心配する恵の顔。
○住宅街・路上(下校中)
紗奈、顔を真っ赤にして咳を頻繁にしながら家に向かって歩いている。
紗奈M「あ〜、これは本格的に風邪を引いたかもしれない。家になにかあったかな? お母さんと隆さん、今日遅くなるって言ってたから、さっきスーパーに寄ればよかった。今から引き返す元気はないなぁ」
紗奈、ヨロヨロになりながら歩く。
○紗奈の自宅・玄関
家には誰もいない。
紗奈「ただいま〜」
○紗奈の自宅・紗奈の部屋
紗奈M「とりあえず寝よう」
紗奈、制服を着たまま、ベッドに倒れ込む。
○紗奈の夢の中
暗闇の中に、1人目の父親が立っている。
紗奈「お父さん!」
紗奈が追いかけようとすると消える。
2人目の父親が現れる。
紗奈「今行く!」
紗奈が追いかけようとすると消える。
3人目の父親が現れる。
紗奈「待って!」
紗奈が追いかけようとすると消える。
4人目の父親(隆)が現れる。
紗奈「行かないで!」
紗奈が追いかけようとすると消える。
母親が現れる。
紗奈「お母さん!!」
紗奈、走っても走っても母親との距離が縮まらない。
紗奈「行かないで!」
母親、手を振って消える。
紗奈「行かないで」
暗闇の中に壮平の後ろ姿が見える。
紗奈「壮平?」
壮平、振り返る。
紗奈、壮平の元へ走って行く。
紗奈「壮平! 壮平!」
紗奈、息を切らして必死に走る。
紗奈「行かないでー!」
紗奈、転んで地べたにつく。
壮平、紗奈を優しく抱きしめて、
壮平「どこにも行かねーよ」
紗奈、壮平の腕の中で眠りにつく。
紗奈M「壮平、ずっとそばにいてね」
紗奈、安心した表情で眠りにつく。
○紗奈の自宅・紗奈の部屋(夜)
紗奈、目を覚ます。
紗奈「今何時!?」
部屋の時計を見ると、19:00。
紗奈「3時間も寝てたの!? でもなんかスッキリした気がする」
紗奈、おでこを触る。
紗奈「あれ」
紗奈のおでこに冷えピタシートが貼ってある。
寝ていた時に来ていた制服のブレザーは脱がされ、掛けていなかった布団が掛けられている。枕を見ると、氷枕になっている。枕元にはゼリーと飲料水が置いてある。
紗奈「お母さん、もう帰ってきたのかな」
紗奈、リビングに行くが誰もいない。
○紗奈の自宅・紗奈の部屋(夜)
紗奈、ベッドに腰掛けているとスマートフォンが鳴る。画面には「恵」の名前が表示されている。
紗奈「(電話に出て)もしもし」
恵の声「もしもし? 紗奈、体調大丈夫?」
紗奈「大丈夫だよ、ありがとう」
恵の声「さっき、青山くんの働いているコンビニに行ったら、ちょうど青山くん働いててさぁ。今日紗奈、めずらしくしんどそうだったんだよねぇって話をしたら、慌てた顔して店長さんにお願いして、1時間だけ抜けさせてもらってたんだけど、紗奈の家にいる?」
紗奈M「……壮平」
紗奈「……もういないけど、来てくれてたみたい」
紗奈、枕元にある飲料水やゼリーを見つめる。
恵「なんか青山くんって、本当に紗奈のこと大事にしてるよね。……でも良かった、体調落ち着いたみたいで。じゃあまた明日ね、お大事に!」
紗奈「うん、ありがとうね」
紗奈、電話を切る。
紗奈M「うちのお母さんが木曜日は深夜まで仕事なの心配して……?」
紗奈、修学旅行で壮平からもらった可愛くない顔をした人参のマスコットのキーホルダーを手に持って見つめる。
紗奈「壮平……」
× × ×
(フラッシュ)
・2回目の結婚時(幼少期)に一生懸命砂場で街を作ってくれている壮平。
壮平「俺が楽しいこと見つけてやるよ、これ見てろよ」
・3回目の結婚時(中学生)に図書館で自立する方法を提案してくれた壮平。
壮平「法学部か……。いいんじゃね? 弁護士になるかは別として、法律学んでたら自分のことも守れそうだし、就職強そうだし。……いい進路かもしれないぞ」
・4回目の結婚時に笑い飛ばしてくれた壮平。
壮平「いいから、笑っとけって!」
・保健室で休んでいた紗奈を迎えにきた壮平
壮平「(紗奈の荷物を持ちながら)ほら、帰るぞ」
・隆と風呂上がりの紗奈が鉢合わせした話を聞いた壮平
壮平「紗奈が良くても俺が良くないの!」
・寝ぼけて紗奈を抱きしめていたことを知らない壮平
壮平「俺何した? 教えてくれない? 知らないまま、紗奈の嫌がることしてたら俺が嫌なんだ」
・修学旅行中、星空を一緒に見ている壮平
壮平「でも、周りの力も頼っていいんじゃねーの? 俺ももし、次本当に流れ星見つけたら、超高速で紗奈に教えてやるよ」
・修学旅行中、砂浜で紗奈に告白している壮平
壮平「俺、紗奈のことが好きだ」「こんなに紗奈のこと好きなのは俺しかいないし、幸せにする自信がある。お願いだから、俺とちゃんと向き合ってくれよ」
・告白後、再度公園で想いを伝える壮平
壮平「俺を信じろ! 結婚しよう」「それでも俺は、紗奈を一生大切にする自信がある。何回でも告白する」
・幼馴染として関係を続けることになった直後の壮平
壮平「(ニヤリと笑いながら)今日紗奈のお弁当つまみ食いしに行っていい?」
・屋上で紗奈と南沢と弁当を食べる壮平
壮平「あ〜!! 先輩、変なことしたら許さないんで」
・南沢とお試しで付き合っていることを知った壮平
壮平「紗奈と一緒にいられるならずっとこのままでもいいと思ってたけど、他の奴のものになるくらいなら、こんな関係、壊れていい。しんどい!」
× × ×
紗奈、涙をボロボロと流す。
紗奈M「壮平……」
ベッドにうずくまり、涙を流す紗奈。
○学校・南沢の教室の前(放課後)
紗奈、ドアの近くに立ち、キョロキョロする。
南沢の男友達「あれ? 紗奈ちゃん?」
紗奈「は、はい」
紗奈、少し警戒した表情。
南沢の男友達「南沢、探してる?」
紗奈「はい……」
南沢の男友達「南沢ならさっき紗奈ちゃんに会うって、張り切って正門に向かっていったよ! 入れ違いかな」
紗奈「そうだったんですね、ありがとうございます」
南沢の男友達「いや〜、モテるのに彼女作らなかったアイツを本気にさせるなんて、紗奈ちゃんすごいよね」
紗奈「いえいえ、先輩は私の顔だけがタイプみたいなんで、別に本気じゃないですよ」
紗奈、うつむく。
南沢の男友達「いや〜、俺の前ではノロケばっかでね。フワフワして見えるのに芯がしっかりしてるとか、冷たくあしらわれることもあるけど、本当に弱っている時は寄り添ってくれて優しい子だとか、なんでも素直に喜んでくれるところが可愛いとか……。容姿の話は1回も聞いたことなくて、少なくとも俺には、紗奈ちゃんの人柄にベタ惚れだったように見えてたよ」
紗奈、真顔になる。
○学校・正門(放課後)
正門のところで南沢が待っている。遠くの空を眺めている。
○(回想)南沢の自宅・玄関(夜)
南沢、無言で自宅の玄関を開けて帰宅する。靴を脱いでいる。
リビングから両親の声が聞こえる。
南沢の義父の声「だから、俺の子じゃないのになんで学費と一人暮らし代払わないといけないんだ!」
南沢、無表情で聞いている。
南沢の母の声「お金は、私が出すから!」
南沢の義父の声「でも、家賃だって生活費だって色々あるだろ?」
南沢、リビングへ向かって歩き出す。
南沢の母の声「あの子には今まで色々不自由させてきたから、せめて大学くらいはあの子の行きたい場所に行かせてあげたいの!」
南沢の義父の声「色々苦労かけてきたかどうかは、俺は知らない!」
(回想終わり)
○(回想)南沢の自宅・リビング(夜)
南沢、リビングの扉をあけて冷蔵庫の中からお茶を取り出す。
南沢を見ながら、固まる2人。
南沢、お茶をコップに入れて飲む。
南沢の義父「なんだ、帰ってきてたのか」
南沢、無言で自分の部屋に入る。
(回想終わり)
○(回想)南沢の自宅・南沢の部屋(夜)
南沢、両手を後頭部に組み、仰向けになってベッドに寝転ぶ。
机には、複数の奨学金のパンフレットがあり、どれもマーカーが引かれたり、付箋が貼られたりしている。
(回想終わり)
○(回想)学校・廊下(授業中)
保健室に向かって気だるそうに歩いている南沢。
南沢M「あ〜、ほんと最近布団に入っても全然寝れないんだよな〜。不眠症ってやつか? 保健室なら寝れるかな」
(回想終わり)
○(回想)学校・保健室(授業中)
南沢、保健室の扉を開けて入る。誰もいない保健室。
「あれ? 先生いない」
南沢、ベッドを囲っているカーテンを開ける。
まつ毛の長い綺麗な寝顔の紗奈。天使のような白い光を纏っている(ように見える)
南沢、紗奈の美しさに口が開いたまま静かに感動している。
南沢M「その瞬間、自分の中の黒い感情が吹き飛ぶくらい、紗奈ちゃんの内から放たれる白い光から目が離せなくなって……」
南沢、ベッドの隣にある椅子に座って、紗奈の寝顔を近くでまじまじと見る。南沢、片手だけ紗奈と手を繋ぐ。
南沢M「気付いたら、寝れていた」
(回想終わり)
× × ×
(フラッシュ)
紗奈と南沢、屋上でお弁当を食べている。
× × ×
南沢M「はじめは、解き放つオーラが気になって近づいたけど、話せば話すほど、素直で可愛くて、人の痛みが分かる優しい子だった。会えば会うほど好きになった。でも、紗奈ちゃんは誰かと恋愛する気もなくて、到底俺には叶わない相手だと思ったから、真正面からぶつからず、卑怯な手を使った」
○(回想)学校・屋上(昼休み)
南沢「軽い気持ちでまずは男と付き合うことからはじめてみない?って話!」
南沢「俺も好きなのは紗奈ちゃんの顔だし、紗奈ちゃんは俺のこと好きでもないし、最初から割り切った関係なら、傷つくこともないと思うんだよね」
南沢「とりあえずさ、1週間お試しで付き合おうよ! 1週間後、紗奈ちゃんが別れたかったら別れればいいし!」
(回想終わり)
南沢M「本気で好きな気持ちを真正面からぶつけて、傷つくのが怖かった」
× × ×
(フラッシュ)
紗奈の満面の笑み
× × ×
○学校・正門(放課後)
南沢、遠くの空を眺めている。
紗奈「南沢先輩!」
紗奈、小走りで南沢の元へ行く。
南沢「紗奈ちゃん!」
南沢、ニコニコしながら紗奈を見つめる。
南沢「今日はどこデートしようか」
紗奈「先輩……」
南沢「カラオケ行く!?」
紗奈、悲しい表情。
紗奈「先輩、あの……」
南沢「ちょっと公園寄らない?」
紗奈、引いた顔で聞き返す。
南沢「嘘嘘、物は試しで言ってみただけ! そうだな〜、うーん。 考えとくわ!」
紗奈「え、飲み物買いに行くとかでもいいんですよ!」
南沢「その使い方はもったいないから、とっとく」
紗奈「え〜、なんか怖いなぁ。私が出来る範囲ですからね!」
南沢「はいはい!」
○住宅街・路上(夕方)
紗奈と南沢、紗奈の自宅に向かって歩いてる。
紗奈「駅までで大丈夫なのに……」
南沢「紗奈ちゃんがどんな街で育ったのか興味あるし」
紗奈「何にもない街ですよ。南沢先輩の地元はどんなところなんですか?」
南沢「母親が再婚する中学までは、山口に住んでたんだよね。めっちゃ田舎だけど、自由に使える山があって、ばあちゃんも友達もいて、俺のホームって感じだったかな」
南沢、遠くを見つめる。
紗奈「へー……。大切な場所だったんですね」
紗奈、切ない表情になる。
南沢「まぁ、こうして紗奈ちゃんに会えたから、こっちに来れて結果オーライだけど!」
紗奈、微笑んだ後、思い出した顔をして、
紗奈「そういえば先輩、受験生ですよね? 遊んでていいんですか?」
南沢「あ。俺、東京の私大、指定校で決まってるから」
紗奈「なんか、っぽいです」
南沢「どういう意味? いい意味だよね?」
南沢、紗奈に顔を近づける。
紗奈「いい意味です、いい意味です」
紗奈、適当にあしらう。
紗奈「ん? じゃあなんで、遠距離になるのに告白しようと思ったんですか?」
紗奈、きょとんとする。
南沢「それくらい、紗奈ちゃんの顔面が好きだから!」
紗奈「本当にその発言、人によっては嫌われますよ! でも、だから、今気兼ねなくいれるんですけどね」
紗奈、くすっと笑う。
南沢、切ない表情を浮かべる。
紗奈「あ、お家ここです。送ってくれてありがとうございました」
紗奈と南沢、アパートの前で立ち止まる。
南沢「今日は楽しかった、ありがとう! また明日!」
紗奈「はい、先輩もお気をつけて!」
軽く手を振り合う紗奈と南沢。
バイト帰りの壮平、2人の姿を遠くから見つける。
南沢、紗奈の頭をポンポンしてから帰って行く。切ない表情を浮かべて1人で帰る。
紗奈、自宅の鍵を開け、ドアを引こうとする。
「ドン!」
壮平、紗奈の背後からドアを片手で押さえ、開かないようにする。
壮平「待てよ!」
紗奈、後ろを振り返る。
紗奈「壮平、どうしたの?」
壮平「どうしたのじゃねぇよ」
紗奈「何が?」
紗奈、きょとんとしながら壮平を見つめる。
壮平「南沢と一緒にいただろ」
紗奈「あっ。あのね、壮平。壮平には言ってなかったんだけど、今南沢先輩とお試しで付き合ってるの」
紗奈、目を逸らして俯きながら話す。
壮平「(怒り気味に)は?」
紗奈「だからその、私も将来のことを考えたら色々不安な気持ちになって、人とお付き合いするっていうのはどういうものなのか経験してみたいと思って」
壮平「俺でいいじゃん」
壮平、真顔で詰め寄る。
紗奈「だから、壮平とはいつか関係が壊れるかもしれない仲になるのは嫌だから、幼馴染のままがいいの」
壮平「俺は、紗奈が他の奴に触れられるくらいなら、今の幼馴染の関係なんていらない。紗奈と一緒にいられるならずっとこのままでもいいと思ってたけど、他の奴のものになるくらいなら、こんな関係、壊れていい。しんどい!」
壮平、紗奈にキスをする。
驚く紗奈。
壮平、隣の自分の家の中に入る。
紗奈、力が抜け、玄関のドアの前にしゃがみ込む。
顔を赤くして口元を抑える紗奈。
○壮平の自宅・玄関の中
壮平、玄関の前にしゃがみ込み、頭を抱える。
○壮平の自宅前・登校前(朝)
制服姿の紗奈、廊下で壮平を待っている。
紗奈M「朝が来てしまった。どんな顔して会えばいいんだろう」
紗奈、スマートフォンのロック画面に映る時間を確認する。
紗奈M「遅いなぁ。やっぱり怒ってるかな」
紗奈、インターフォンを押す。
「ピンポーン」
応答がない。
紗奈M「先に行かれちゃったか」
紗奈、しゅんとした表情で1人学校へ向かう。
○学校・廊下(休み時間)
紗奈と恵、教科書を持って移動教室へ向かっている。
向かいから壮平と複数の友達が歩いてくる。
紗奈、壮平が前から近づいてきた時に、手を控えめに上げながら
紗奈「壮平、おはよ……」
壮平、目も合わせず無視をして隣を通り過ぎる。
紗奈、上げていた手をゆっくり下ろす。沈んだ表情。
恵、心配した表情で紗奈を見ている。
○コンビニ・壮平のバイト先(夕方)
レジの前に立っている壮平。
紗奈「これください」
紗奈、カウンターに板チョコを置く。
壮平、目も合わせず、
壮平「120円になります」
紗奈、お金を出す。
壮平「400円のお返しです、ありがとうございました」
壮平、無愛想な表情で喋る。
紗奈「あの、待っててもいいかな?」
壮平「……今日夜の9時までなんで」
紗奈「待ってる!」
壮平「店に居座られても迷惑なんで」
壮平、目を合わせず淡々と話す。
紗奈「そっかぁ、ごめんね。頑張ってね! じゃあ」
紗奈、しゅんとした顔で帰って行く。
壮平、紗奈の後ろ姿を見ながら頭を掻く。
○紗奈の自宅・紗奈の部屋(夜)
紗奈、ベッドに横たわっている。
紗奈「(浮かない顔で)私のせいだ」
紗奈のスマートフォンが鳴る。画面に「南沢蓮」と表示されている。
紗奈、ベッドに座り直して電話に出る。
南沢、自分の部屋から電話をかけている。
紗奈「もしもし」
南沢「今大丈夫?」
紗奈「はい」
南沢「明日どこ行くー? 駅前のカフェもいいなぁって思ってるんだけど、でもクレープも食べたいって言ってたよね?」
紗奈「……」
紗奈、上の空。
南沢「紗奈ちゃん?」
紗奈「あっ、はい、すみません! 行きたいです、カフェ!」
南沢「なんかあった? 元気ない気がする」
紗奈「うーん……、はい。壮平と最近上手くいってなくて……。幼馴染って難しいですよね」
南沢「ふーん。紗奈ちゃんがどうしたいかじゃない?」
紗奈「私がどうしたいか……」
南沢「うん。“どうした方がいいか”じゃなくて、“どうしたいか”」
紗奈「どうしたいか……」
南沢「まぁ俺は、紗奈ちゃんが出した答えを、全力で応援するよ」
紗奈「ありがとうございます」
南沢「だから、俺が立ち止まった時には紗奈ちゃんも全力で応援してくれる? あ、これ、この間の卓球勝負のお願い事にしようかな!」
紗奈「任せてください! 私、中学の時に応援団やってたので応援は得意です!」
南沢「応援団入ってたの? 意外すぎる」
笑い合う、紗奈と南沢。
○学校・教室(昼休み)
紗奈と恵、教室でお菓子を食べている。
紗奈、目が潤んで咳が出ている。
恵「風邪ひいた? ごめん、私の風邪移しちゃったかもしれない」
紗奈「ううん、そんなことないよ。すぐ治るから大丈夫!」
「ゴホゴホ」紗奈の咳。
心配する恵の顔。
○住宅街・路上(下校中)
紗奈、顔を真っ赤にして咳を頻繁にしながら家に向かって歩いている。
紗奈M「あ〜、これは本格的に風邪を引いたかもしれない。家になにかあったかな? お母さんと隆さん、今日遅くなるって言ってたから、さっきスーパーに寄ればよかった。今から引き返す元気はないなぁ」
紗奈、ヨロヨロになりながら歩く。
○紗奈の自宅・玄関
家には誰もいない。
紗奈「ただいま〜」
○紗奈の自宅・紗奈の部屋
紗奈M「とりあえず寝よう」
紗奈、制服を着たまま、ベッドに倒れ込む。
○紗奈の夢の中
暗闇の中に、1人目の父親が立っている。
紗奈「お父さん!」
紗奈が追いかけようとすると消える。
2人目の父親が現れる。
紗奈「今行く!」
紗奈が追いかけようとすると消える。
3人目の父親が現れる。
紗奈「待って!」
紗奈が追いかけようとすると消える。
4人目の父親(隆)が現れる。
紗奈「行かないで!」
紗奈が追いかけようとすると消える。
母親が現れる。
紗奈「お母さん!!」
紗奈、走っても走っても母親との距離が縮まらない。
紗奈「行かないで!」
母親、手を振って消える。
紗奈「行かないで」
暗闇の中に壮平の後ろ姿が見える。
紗奈「壮平?」
壮平、振り返る。
紗奈、壮平の元へ走って行く。
紗奈「壮平! 壮平!」
紗奈、息を切らして必死に走る。
紗奈「行かないでー!」
紗奈、転んで地べたにつく。
壮平、紗奈を優しく抱きしめて、
壮平「どこにも行かねーよ」
紗奈、壮平の腕の中で眠りにつく。
紗奈M「壮平、ずっとそばにいてね」
紗奈、安心した表情で眠りにつく。
○紗奈の自宅・紗奈の部屋(夜)
紗奈、目を覚ます。
紗奈「今何時!?」
部屋の時計を見ると、19:00。
紗奈「3時間も寝てたの!? でもなんかスッキリした気がする」
紗奈、おでこを触る。
紗奈「あれ」
紗奈のおでこに冷えピタシートが貼ってある。
寝ていた時に来ていた制服のブレザーは脱がされ、掛けていなかった布団が掛けられている。枕を見ると、氷枕になっている。枕元にはゼリーと飲料水が置いてある。
紗奈「お母さん、もう帰ってきたのかな」
紗奈、リビングに行くが誰もいない。
○紗奈の自宅・紗奈の部屋(夜)
紗奈、ベッドに腰掛けているとスマートフォンが鳴る。画面には「恵」の名前が表示されている。
紗奈「(電話に出て)もしもし」
恵の声「もしもし? 紗奈、体調大丈夫?」
紗奈「大丈夫だよ、ありがとう」
恵の声「さっき、青山くんの働いているコンビニに行ったら、ちょうど青山くん働いててさぁ。今日紗奈、めずらしくしんどそうだったんだよねぇって話をしたら、慌てた顔して店長さんにお願いして、1時間だけ抜けさせてもらってたんだけど、紗奈の家にいる?」
紗奈M「……壮平」
紗奈「……もういないけど、来てくれてたみたい」
紗奈、枕元にある飲料水やゼリーを見つめる。
恵「なんか青山くんって、本当に紗奈のこと大事にしてるよね。……でも良かった、体調落ち着いたみたいで。じゃあまた明日ね、お大事に!」
紗奈「うん、ありがとうね」
紗奈、電話を切る。
紗奈M「うちのお母さんが木曜日は深夜まで仕事なの心配して……?」
紗奈、修学旅行で壮平からもらった可愛くない顔をした人参のマスコットのキーホルダーを手に持って見つめる。
紗奈「壮平……」
× × ×
(フラッシュ)
・2回目の結婚時(幼少期)に一生懸命砂場で街を作ってくれている壮平。
壮平「俺が楽しいこと見つけてやるよ、これ見てろよ」
・3回目の結婚時(中学生)に図書館で自立する方法を提案してくれた壮平。
壮平「法学部か……。いいんじゃね? 弁護士になるかは別として、法律学んでたら自分のことも守れそうだし、就職強そうだし。……いい進路かもしれないぞ」
・4回目の結婚時に笑い飛ばしてくれた壮平。
壮平「いいから、笑っとけって!」
・保健室で休んでいた紗奈を迎えにきた壮平
壮平「(紗奈の荷物を持ちながら)ほら、帰るぞ」
・隆と風呂上がりの紗奈が鉢合わせした話を聞いた壮平
壮平「紗奈が良くても俺が良くないの!」
・寝ぼけて紗奈を抱きしめていたことを知らない壮平
壮平「俺何した? 教えてくれない? 知らないまま、紗奈の嫌がることしてたら俺が嫌なんだ」
・修学旅行中、星空を一緒に見ている壮平
壮平「でも、周りの力も頼っていいんじゃねーの? 俺ももし、次本当に流れ星見つけたら、超高速で紗奈に教えてやるよ」
・修学旅行中、砂浜で紗奈に告白している壮平
壮平「俺、紗奈のことが好きだ」「こんなに紗奈のこと好きなのは俺しかいないし、幸せにする自信がある。お願いだから、俺とちゃんと向き合ってくれよ」
・告白後、再度公園で想いを伝える壮平
壮平「俺を信じろ! 結婚しよう」「それでも俺は、紗奈を一生大切にする自信がある。何回でも告白する」
・幼馴染として関係を続けることになった直後の壮平
壮平「(ニヤリと笑いながら)今日紗奈のお弁当つまみ食いしに行っていい?」
・屋上で紗奈と南沢と弁当を食べる壮平
壮平「あ〜!! 先輩、変なことしたら許さないんで」
・南沢とお試しで付き合っていることを知った壮平
壮平「紗奈と一緒にいられるならずっとこのままでもいいと思ってたけど、他の奴のものになるくらいなら、こんな関係、壊れていい。しんどい!」
× × ×
紗奈、涙をボロボロと流す。
紗奈M「壮平……」
ベッドにうずくまり、涙を流す紗奈。
○学校・南沢の教室の前(放課後)
紗奈、ドアの近くに立ち、キョロキョロする。
南沢の男友達「あれ? 紗奈ちゃん?」
紗奈「は、はい」
紗奈、少し警戒した表情。
南沢の男友達「南沢、探してる?」
紗奈「はい……」
南沢の男友達「南沢ならさっき紗奈ちゃんに会うって、張り切って正門に向かっていったよ! 入れ違いかな」
紗奈「そうだったんですね、ありがとうございます」
南沢の男友達「いや〜、モテるのに彼女作らなかったアイツを本気にさせるなんて、紗奈ちゃんすごいよね」
紗奈「いえいえ、先輩は私の顔だけがタイプみたいなんで、別に本気じゃないですよ」
紗奈、うつむく。
南沢の男友達「いや〜、俺の前ではノロケばっかでね。フワフワして見えるのに芯がしっかりしてるとか、冷たくあしらわれることもあるけど、本当に弱っている時は寄り添ってくれて優しい子だとか、なんでも素直に喜んでくれるところが可愛いとか……。容姿の話は1回も聞いたことなくて、少なくとも俺には、紗奈ちゃんの人柄にベタ惚れだったように見えてたよ」
紗奈、真顔になる。
○学校・正門(放課後)
正門のところで南沢が待っている。遠くの空を眺めている。
○(回想)南沢の自宅・玄関(夜)
南沢、無言で自宅の玄関を開けて帰宅する。靴を脱いでいる。
リビングから両親の声が聞こえる。
南沢の義父の声「だから、俺の子じゃないのになんで学費と一人暮らし代払わないといけないんだ!」
南沢、無表情で聞いている。
南沢の母の声「お金は、私が出すから!」
南沢の義父の声「でも、家賃だって生活費だって色々あるだろ?」
南沢、リビングへ向かって歩き出す。
南沢の母の声「あの子には今まで色々不自由させてきたから、せめて大学くらいはあの子の行きたい場所に行かせてあげたいの!」
南沢の義父の声「色々苦労かけてきたかどうかは、俺は知らない!」
(回想終わり)
○(回想)南沢の自宅・リビング(夜)
南沢、リビングの扉をあけて冷蔵庫の中からお茶を取り出す。
南沢を見ながら、固まる2人。
南沢、お茶をコップに入れて飲む。
南沢の義父「なんだ、帰ってきてたのか」
南沢、無言で自分の部屋に入る。
(回想終わり)
○(回想)南沢の自宅・南沢の部屋(夜)
南沢、両手を後頭部に組み、仰向けになってベッドに寝転ぶ。
机には、複数の奨学金のパンフレットがあり、どれもマーカーが引かれたり、付箋が貼られたりしている。
(回想終わり)
○(回想)学校・廊下(授業中)
保健室に向かって気だるそうに歩いている南沢。
南沢M「あ〜、ほんと最近布団に入っても全然寝れないんだよな〜。不眠症ってやつか? 保健室なら寝れるかな」
(回想終わり)
○(回想)学校・保健室(授業中)
南沢、保健室の扉を開けて入る。誰もいない保健室。
「あれ? 先生いない」
南沢、ベッドを囲っているカーテンを開ける。
まつ毛の長い綺麗な寝顔の紗奈。天使のような白い光を纏っている(ように見える)
南沢、紗奈の美しさに口が開いたまま静かに感動している。
南沢M「その瞬間、自分の中の黒い感情が吹き飛ぶくらい、紗奈ちゃんの内から放たれる白い光から目が離せなくなって……」
南沢、ベッドの隣にある椅子に座って、紗奈の寝顔を近くでまじまじと見る。南沢、片手だけ紗奈と手を繋ぐ。
南沢M「気付いたら、寝れていた」
(回想終わり)
× × ×
(フラッシュ)
紗奈と南沢、屋上でお弁当を食べている。
× × ×
南沢M「はじめは、解き放つオーラが気になって近づいたけど、話せば話すほど、素直で可愛くて、人の痛みが分かる優しい子だった。会えば会うほど好きになった。でも、紗奈ちゃんは誰かと恋愛する気もなくて、到底俺には叶わない相手だと思ったから、真正面からぶつからず、卑怯な手を使った」
○(回想)学校・屋上(昼休み)
南沢「軽い気持ちでまずは男と付き合うことからはじめてみない?って話!」
南沢「俺も好きなのは紗奈ちゃんの顔だし、紗奈ちゃんは俺のこと好きでもないし、最初から割り切った関係なら、傷つくこともないと思うんだよね」
南沢「とりあえずさ、1週間お試しで付き合おうよ! 1週間後、紗奈ちゃんが別れたかったら別れればいいし!」
(回想終わり)
南沢M「本気で好きな気持ちを真正面からぶつけて、傷つくのが怖かった」
× × ×
(フラッシュ)
紗奈の満面の笑み
× × ×
○学校・正門(放課後)
南沢、遠くの空を眺めている。
紗奈「南沢先輩!」
紗奈、小走りで南沢の元へ行く。
南沢「紗奈ちゃん!」
南沢、ニコニコしながら紗奈を見つめる。
南沢「今日はどこデートしようか」
紗奈「先輩……」
南沢「カラオケ行く!?」
紗奈、悲しい表情。
紗奈「先輩、あの……」
南沢「ちょっと公園寄らない?」
