──貴方に伝えたかった、たった一言。

「入って!」

秋の葉が吹き去って行く中で、真希は綺麗にボールを放った。

すぽっと綺麗な音をたててボールはリングをくぐった。

真希…本当にうまくなっていってる気がする。

初めてバスケを初めてからもう二ヶ月か……。

もう九月になってしまった。

真希のプレイをバスケットコートの端のベンチで見ていると「いい感じいい感じ」と天野くんが褒めながら真希に寄る。

今真希がやっている練習は、止まっている敵をドリブルで避けてそのままゴールまで行き、シュートをするという練習だ。

「後は細かいパス交換とポジショニングの練習だけど、それは今度一週間、女バスの方で練習するんだよね?」

天野くんは初心者の真希をここまで上達させるなんて本当にすごい。

私も真希に声かけてあげなきゃ!

そう心の中で決めてベンチを思いっきり立ち上がり、真希の方に全力で走った。