──貴方に伝えたかった、たった一言。

六月十一日。

今日は…一睡も出来なかった。

昨日天野くんとたくさん話して距離が縮まった感じがしたし、天野くんに昨日の家まで送ってもらったし…。

何より…天野くんのもう一度バスケをするという機会を与えれて、私としてもとても嬉しい。

でもそんなたくさんのことがあり過ぎて、今日は全く寝れなかった。

制服に着替え、鞄を持って家を出た。

学校が始まって約二ヶ月…。

恋の方は順調なはず。

友達は…まだだな…。

そこら辺も頑張って行こう!

         ♢

学校に着いて、いつものように、中庭を通って行く。

「樋目野さん。おはよ」

後ろから突然声がした。

そして…天野くんが私の右に立った。

……え?天野くん?

「天野くん?!ど…どうしたの?!」

ふふっと天野くんは笑い「なに?’’おはよ’’って言っただけだよ?」と言ってきた。

「な…なんで…ここにいるの?!」

動揺が隠せずおどおどしながら言う。

「普通に登校して来てたら樋目野さんがいたから。それに……」

そう言って何かを指さす。

その方向に目を動かす。