「おっせーよ!」
「わりぃ!」

俺は全力で走って来たせいで、
息を切らしながら謝る。

「まっ!
かなり走って来たみたいだし、許してやるか!」
「サンキュ!
って、俺別に悪くなくね!?」
「開き直るな!」

そう言って祐樹が俺の頭をしばいた。

「いって!
しばくなよ!」

リアルに痛いし。


というのも、
朝が苦手な俺に朝から電話をかけてきて、

「今から花見だ!
30分後に桜田公園に来い!」

と言って来たのは祐樹なのに。


あぁ。
こいつの名前は新井 祐樹(あらい ゆうき)。
小3の時に祐樹が引っ越して来た。
最初は張り合ってた俺達だけど、なんか息統合しちゃって。
明日を高校の入学式に控えた今日まで一緒にやってきた。

どんな時も一緒にいてくれた。
こいつ以外はそこまで信用できねー。
そんぐらいこいつの事は信用してる。


しかもカッコいい。人懐っこい、クリッとした目が特徴的。
近寄りがたさのない祐樹は、誰からも好かれていた。
要領も良くて。

俺とは違う祐樹が、少し羨ましくもあった。

ん?
俺か?

俺の名前は神崎 亮(しんざき りょう)。
まぁ、よくカッコいいって言われるからカッコいいってことにしとこうかな。