「情報課に新たに届いた情報だ。

3日後、都内のバーで取引がある。

ほぼ確定情報だ。各自、資料にしっかり目を通し、当日の動きをよく確認しておくように。

以上!仕事に戻ってくれ。」

「はっ!」と揃った声が室内に響く。


「久しぶりのガサ入れですねぇ。緊張しちゃうなぁ。」


力無い笑顔で本気とも冗談とも取れるようなことを言うのは大阪潔。


心優しい男で、その優しさが口調にもよく表れている。
少々気弱だが、冷静に適確な判断・行動が出来る優秀な捜査官である。


「そんなことでどうする。久しぶりなんだ、派手に行こうじゃないか。」


それに対して、力自慢で熱血漢なのが坂東剛。

体技に長け、力で犯人を捩伏せる。


そんな2人だからバランスの取れたコンビでいられるのかもしれない。


そして、

「坂東さんの言う通りですよ、大阪さん!
ぎたぎたにしてやりましょう。」


今のところ、捜査課唯一の女性、山添樹。

紅一点という感じはまるでないが、課のメンバーだけでなく、他の局員からも何故か可愛がられる。


俺に対しては厭味で自己中だというのに――と椎名は思う。


しかし、仕事になるとまるで別人だった。

怖いくらい真っ直ぐで真剣な瞳を見せる。

そして一見無謀にも思える行動も、しっかりとした確実性、自信の元に行う……


そのギャップに未だに慣れず、日が暮れる頃には椎名はいつもくたくたになっているのだった。