金城失踪の件も含めて、向井に話を聞こうと向井の住むアパートに向かったが、部屋は既に物気の空……


「……くそっ!探せ!!
街をひっくり返しでも探し出せ!!」


種田の上司である齋藤警部を筆頭に必死の捜査が展開された。



―――が……、



数日後、金城の遺体が発見された。


その時点で単なる家出ではないと思われる行方不明者は13人……


しかし、その後の必死の捜査も空しく、向井の足取りは掴めず、犯人も分からないまま、やがて捜査は打ち切りとなってしまった――


だからこそ、樹は追い続けている。


犯人が、金城の行方を知っているかもしれないという一縷の望みを握りしめて―――



それが、椎名が資料から得た事件の断片……



「――な、椎名?」


「あ、すみません。種田さんは彼女に優しいですよね。

まぁ、ERSA(ウチ)はみんな彼女に甘いんですけど……」


日頃のベースの様子を思い出し呆れ笑う。


「甘い、か。手厳しいなぁ。

……まぁ、確かにERSAの人たちは樹を娘みたいに思ってくれてるから。


……俺は、妹と約束したから――。」


「妹さん……?」


「そう。樹は、妹の親友でね。

妹に頼まれてるんだ。

危なっかしい子だから頼むって。」



そう言った種田は少し遠い目をしているようだった――