2人が独自に聞き込みを続けるうちに､失踪者に妙な共通点が出て来た｡


少年が一緒にいたという男――｡


失踪した多くの少年少女が失踪直前に､男と一緒にいたところを目撃されていたのだ｡


男が同一人物であることを確認するために最初に証言を得た青年を訪ねた｡


青年の名は向井努｡


24時間営業のｶﾞｿﾘﾝｽﾀﾝﾄﾞでｱﾙﾊﾞｲﾄをしている最中､2人を見かけたという｡


向井青年の証言から出来上がったﾓﾝﾀｰｼﾞｭは犯人逮捕に繋がる決定的なものではなかった｡


｢……まるでﾄﾞﾗﾏですね｡｣


黒いｼﾞｬﾝﾊﾟｰにｼﾞｰﾝｽﾞ､黒い帽子を目深に被った細身の男……


これを手にもう一度聞き込みを行うと､いよいよこの男が怪しくなってきた｡


しかし､あくまでも服装の特徴だけで､顔の特徴などは全くない｡


仕方なく､樹はここまでの経緯を種田に話し､警察に捜査協力を仰いだ｡



金城は面白くない顔をしていたが､2人の説得のかいあって､警察もやっと重い腰を上げることとなった｡



ところが……



そんな矢先､金城が突然失踪した｡



混乱するERSAに更に入ってきたのは警察が重要参考人として向井努の名を上げていることだった｡