「今回の失態は、俺の責任です。俺が独断で飛び出しました。」

もう一度、深く頭を下げる。

ここで上司である彼女はすかさずフォローを……

「そういうことです。」


……しない。


ここは上司が「私にも責任はあります」とか何とか言ってフォローするところだろう!

という心の叫びを抑えて椎名は頭を下げ続ける。


室長は短くため息を吐くと

「パートナーの問題はコンビの責任だ。よって、2人ともしばらくデスクワーク!」

俺たちに、そう審判を下した。

「……判りました。」


「ぇえ〜っ!ちょ…っ!ちょっと待ってよ、局長〜!!」


「いいから、行きますよ。では、失礼します。」


食い下がる彼女を抱えるようにして、2人は部屋をあとにした。

親しい間柄なのは判るが、局長に駄々をこねるとは……。

呆れてものも言えない。


こんな姿も、まるで子供だ……。


ここまで、なんの問題もなくやってきた……。こんな所で躓いている場合ではない。


ふてくされる樹の顔を見て、椎名は溜息をつくのだった。