『種田刑事!』
その姿を見て椎名と樹の嬉しそうな声が重なる。
「今日も息がぴったりだな。」
種田が爽やかに笑う。
「まだ話しは終わってないんだが…。」
局長は諦めて溜息をつく。
「現場検証を二人に同行して頂きたいんですが…お借りしてよろしいですか?」
「仕方ないな。ガサが近いので、あまり無理はさせないでくれよ。」
「ありがとうございます。」
爽やかを絵に描いたような人――それが椎名の種田の印象だった。
種田歩道。27歳で刑事課の刑事だ。
樹と随分親しげな様子なのだが、2人の関係についてはまだ聞けずにいる。
ただの捜査官と刑事という感じではない、というところまでは椎名も2人の雰囲気で感じたれるのだが、それが逆に聞きづらくしていることは確かだ。
本来、2人の関係がどうだろうと関係ないのだが、今は少しでも情報が多い方がいい。
「よし!じゃあ飯でも行くか。」
局を出ると、種田がそんなことを言い出した。
「いいねぇ!あたし、この前、ガード下においしい焼き鳥屋見つけたんだけど。」
何故か、当然のように樹も乗り気である。
「ちょ…、現場検証は……?」
『そんなの後々!』
見事なハーモニーだ…。
2人の少年のようないたずらっぽい笑顔に負け、椎名は大人しく付き合うことにした。