「穂波!!」
美空が私の様子を見て、駆け寄ってきた。
「だ…大丈夫。
ちょっと目眩がしただけだから…」
「でも、もう顔が真っ青だよ。それに、もう指先だけじゃなく、身体全体が異常に冷たいし…
もう止めた方が――」
「な、何言ってるの。ここで止めたら人類は滅亡してしまうのよ…
私も美空も、他の人達も全員が死んでしまう。どうせ死ぬなら、最後まで諦めずに戦わなくちゃ」
私は膝に力を入れ、最後の力を振り絞って立ち上がった。
そして、8度目の精神集中を開始した。
私達が北極海に来て、一体どれだけの時間が経過したのだろうか?
これで決めないと、時間も力も私にはもう…
でも――
力を解放したが、既に精神的にも肉体的にも壊れ始めていた私の力では、もう数メートル先までしか凍らせる事が出来なかった。
「も、もう…」
私は氷に膝をつき、そのまま前方に顔から崩れ落ちた。
.