ケラケラと板垣を笑う武蔵の横で日美子はムスッとした顔をしている。

「宮本君!」

それまで笑っていた武蔵の顔が一気に元に戻る。

「あ?」

「ダメじゃない!日直サボっちゃ!」

「………は?」

てっきり助けてもらった礼だと思っていた武蔵は唖然とし、口をポカンと開けた。

「私大変だったんだよ!日誌書いたり、掃除したり…!黒板だって!」

日美子はピンク色の頬を目一杯膨らませ、武蔵に抗議した。

「わ、悪い……」

なぜか武蔵は素直に謝ってしまった。
謝るなどと言う行為は何年振りだろう。

「よし!じゃあ、手伝って!」

「え?」

「宮本君は上の方を拭いてね!」

日美子は先ほどキスされそうになったのも忘れ、せっせと黒板消しを再開した。

武蔵も何が何だか分からず、戸惑っていたが自然と身体が動き、黒板を消し始めた。