「宮本と日直なんて…ついてないね、あの子」

卵焼きを食べながら女子を哀れむような目で見ながら言った梅子。

「宮本って…宮本君?」

「そう。あの宮本武蔵」

梅子はゴクンと卵焼きを喉に流し込んで手を合わせ、「ご馳走様」。

「どうしてついてないの?」

キョトンという表現がぴったりの顔をして日美子は首を傾げた。

「は?だって“あの”宮本よ?」

「だから?」

「え?…あ、そっか。日美子はそういうの何とも思わないんだったね」

梅子は思い出したかのように苦笑して日美子の肩をポンっと叩いた。

まだ日美子は頭に疑問符を浮かべている。

そう。
日美子はこの学校で宮本を恐れない、たった一人の女子だった。