不公平な世界で、僕は君と病院で

恋愛(その他)

不公平な世界で、僕は君と病院で
作品番号
1741182
最終更新
2024/12/28
総文字数
5,774
ページ数
1ページ
ステータス
完結
PV数
50
いいね数
4
ふわふわと風が吹いている
ちゃんと動いている心臓がある

息を吸って、思いっきりはいた。


「ねえ…僕に生きろって…言ってくれただろ…っ…」
言葉がかすれる。

「僕と生きるって言ってくれた……よ……ね。」
その言葉が胸に刺さる。
……全部、全部全部。
台無しじゃないか…。

「なんで……なんで自分から……」

「僕をどうするつもりだよ……っだったら…僕だって…っ…僕だって!!」
声が、誰も居ない空にこだます。

「……っ…」
君が、そういう服も似合ってるって褒めてくれた服に涙が落ちる。

「……泣けない」
泣けない。一粒の涙しか出てこなかった。
なんでよ。あんなに泣けたのに。

「泣けない方が、ますます辛いじゃんか…っ…。なんでよ……っ…」
体が震えるほど冷たい。怖い。

「なんでさあ…!!なんで僕を頼らないんだよ……っ…!僕が死んだ方がいいじゃないかよ……!」
言いたいことが次々と溢れてくる。

「なんで……なんで…運命ってこうなの…?なんで…なんで僕の心臓ってさ…っ…一つしかないんだよ…なんで君はそんな病気にかかったんだよ…!!いっそ僕の体を、全部全部君にあげたいってば……っ…!!」

言えてない。伝えられてない。言わなくちゃ。
叫んでも、どれだけ叫んでも。
……もう、伝わらない思い。

「だからこそだよ…!なんで自分からそういう選択をしたんだよ……っ…教えてよ……っ…」

「だって僕…君のこと……っ…!」

最後の方の声が、風でかき消される。

僕の選択が合ってるかなんて知らない。きっと合ってるわけが無い。
ああ、きっと君に怒られちゃうね。
君がくれた命なのに
なんでこんなこと、してるんだろ。

………それは

君が居ないと……意味が無いんだよ……っ!

……こうやって言い訳してるから、人に怒られちゃうんだね。

スカートが揺れる。
ふわっと髪も揺れた。

「全部、いらない」





※本作品の表紙は、AIによって生成されたイラストを使用しています。著作権の問題はございませんので、ご安心ください。

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