その日もいつものようにタクがアタシを待っててくれた。




アタシが下駄箱のとこに降りて行くと…




「おつ今日は数列やるか」



「あ…ごめん…タク。」



「何だよ神妙な顔して。」



「うん…あのね…。」



「何だよマリネらしくねえな。はっきり言えよ。」



また…そんな優しい目で…そんな優しいこと言わないでよ。



「ん…あのね…お母さんが昨日…塾に申し込んでて…塾に行くことになっちゃったから…もういいよ。」



「あ…そっか。」



タクは少し残念そうな顔をした。



「ごめんね…ホント…迷惑かけて。」



「馬鹿野郎…迷惑なんてねえよ。また困ったことあったら何でも言えよ。俺はいつでもいいから。」



「うん…ありがと。」



「んじゃな…塾…ガンハレよ」






タクはそう言ってVサインして帰って行った。






アタシは泣き出してしまいそうだった。





何度も…タクの後ろ姿に謝った。