入学式で教室が解らずにうろうろしていた時も…タクが教室まで連れていってくれたし…
夏休みの数学の課題で困ってた時も…全部答えを見せてくれたし…
修学旅行先の京都でアタシが一人はぐれて、泣きべそかいてる時も…
「何してんだ」
「うん…ただ…。」
「そっか…。」
とだけ言うとタクもアタシの横のブランコに乗り、ゆっくりとこぎだした。
キーコ…キーコ…
「マリネ…」
「……」
「話したくないことなら…無理して話さんでもいいけど…もし俺に話して楽になるんなら…聞いてやるよ。」
ーー相変わらず…タクは優しいんだね…
「ありがとう…。」
それでも…話せずに…二人ブランコをこいでいた。
少しだけ赤く染まり始めた空を見ながら…。