何分位…眺めていただろうか。そのうち女性の店員に見つかり「中でご覧になりませんか」と声をかけられた。
「いえ…いいです」とアタシはそそくさとその場を離れ帰るふりをした。
しかしすぐにまた戻り、改めて袖口から覗いている値札を見てみると…
98800……
ーーゲッ
ーーきゅうまんはっせんはっぴゃくえん
溜息まじりの深呼吸をして…アタシはチャリに乗って帰り始めた。
それでも…アタシの頭の中からあのスーツを着たケンシローの姿が消えることはなかった。
ーーケンシロー…きっと似合うよね
ーーそっかぁ…もうすぐクリスマスだ。
ーークリスマスにプレゼントしたら…
ーーケンシロー喜ぶかな
そしてアタシの小さな脳みそは瞬く間に妄想を広げ始める。