「えっ! 龍樹くんにセフレがいたーっ!?」
「しー! 声が大きいよ、聖乃!」
その数日後、私は友人である聖乃にこの間の出来事のことを話した。
「ちょっと待って、セフレがいたの? あの龍樹くんに?」
「うん。 しかも、私と付き合う前からセフレだったらしいの」
私が運ばれてきたカフェラテのカップに手を伸ばすと、聖乃は「え、付き合う前からセフレだったの!? ちょっと何それ、クズじゃん!」と私に言う。
「私、悔しいよ。二年も騙されてたなんて……もうショックでどうしたらいいのか、わからないよ」
「まあそうよね……。でもあんなクズ男、豊佳から捨ててやって正解じゃない」
「んー……」
カフェラテを口にする私に向かって、聖乃は「何? 豊佳もしかして、まだ好きなの?龍樹くんのこと」と聞いてくる。
「いや、そう簡単には忘れられないよ。……結婚出来ると思ってたし」
「でもそうじゃなかったんでしょ? セフレとセックスしてるとこ見せつけておいて、結婚しようだなんて虫が良すぎるじゃない。 どうせ豊佳と結婚しても、セフレとの関係を続けるつもりだったんでしょ?もうアイツのことなんて早く忘れて、次の恋した方がいいわよ」
聖乃はそう言うけど、そんな簡単な話でもない気がする。
でも、確かに大好きだったことに変わりはなくて。龍樹となら幸せになれると、そう思ってたのは確かだった。
「豊佳、私はアンタに幸せになってほしいのよ」
「……うん」



