不安になっていた私を、翡翠さんの優しい言葉が包み込んでくれるから、すぐに不安も取り除かれていくのがわかった。
* * *
「……ってことがさ、あったんだよね」
その出来事を、私は聖乃に電話で伝えた。
「マジ? アイツ、マジなんなのっ!?クズすぎるじゃん!」
「いや、もうクズとかじゃないよね。 本当にアイツ……マジで終わってる」
聖乃に事情を話すと、聖乃は「だってまだ豊佳のこと好きなんでしょ? セフレとの情事見せておいて、そんなこと言われてもね……って感じだよね」と電話越しに話す。
「いや、本当それ。マジでなんなのって感じ!人の家に上がり込んできて、私のこと押し倒してキスされたし……」
「はあ!?押し倒されたの? いや、本当にアイツマジで未練たらしい。最低じゃん!」
「本当だよね。……でも翡翠さんが守ってくれたから、もう大丈夫だと思う」
聖乃は電話の向こうで「えー!烏丸翡翠が守ってくれるとか、超最高なんですけどっ!」とテンションが上がっているようだった。
「ねえ聖乃、なんでそんなに嬉しそうなの?」
「だってあの烏丸翡翠だよ?烏丸翡翠に守られる彼女って、豊佳しかいないんだよ? もうあんなイケメンに守られる豊佳が羨ましいんだけど!」
聖乃は終始嬉しそうに話していたけど、とても私のことを心配しているみたいだった。
「翡翠さんが龍樹と話をしたみたいでね、龍樹にもう二度と私の前に現れないって約束させたんだって。……すごいよね、翡翠さん」
「へえ、そうなの?」



