【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



 私と翡翠さんは正式に付き合うことになった。翡翠さんとなら、もう二度とあんな想いをしなくて済むと、そう思っている。
 翡翠さんなら、私を優しく包み込んでくれる人だということを知ったから、何も怖くない気がした。

【聖乃、私彼氏出来た】

 聖乃にはままだ、翡翠さんと出会ったことを言っていなかった。 出会いが出会いなだけに、言いづらいこともあったからだ。
 だけどもう、私は翡翠さんの彼女になった。だからもう、聖乃に報告してもいいかなと思った。

【えっ!豊佳、彼氏出来たの!? マジ!?】

 聖乃が驚くのも無理はない。だって聖乃は何も知らないのだから。
 
【ちょっと話すと長くなるかも】

【なになに?じゃあ電話で聞いていい?】

【うん】

 メッセージのやり取りの後、すぐに聖乃から電話が掛かってきた。

「ちょっと豊佳、彼氏って何!? いつの間に彼氏出来たの!?」

「う、うん。実は付き合ったのは、今日なんだけどね」

 聖乃は興味津々なようで、私に容赦なく「今日? え、どこで出会ったの!?」と聞いてくる。

「出会いは道端、なんだけどね」

「ん?道端? どういうこと?」

 私は龍樹が別れた後私の所に来て、やり直してほしいと言われたことを聖乃に話した。

「えっ!アイツそんなこと言ったの!?」 

「うん。 セフレと別れたからやり直してほしいって言われたんだよね。……まあ結局、別れてなかったってわかったんだけどさ」

「えっ、何それ。やっぱりクズじゃん!」