早速、二人は作業にとりかかりました。人参、タマネギ、ピーマン。色とりどりの野菜をトントン、ざっくざっく。調子よく二人は作業をこなしていきます。ふいに、こずきんちゃんが、オオカミのモリに言いました。
「随分、毛深いのね、モリさんのおてて。まるで、オオカミさんみたい。」
「がすっ!」
突拍子もない突っ込みが入ったオオカミのモリは、誤って、左人差し指を包丁で傷つけてしまいました。
「痛てっ!」
オオカミのモリの指から、真っ赤な血がポトポトと落ちました。その光景を見たこずきんちゃんは、わなわな震え出しました。
「…っつう、わ、悪いけど、ばんそうこうをひとつ…うん、どうしたんだい?こずきんちゃ…」
「きゃあーっ」
突然、こずきんちゃんは絶叫して、オオカミのモリめがけて包丁を両手で持って突進してきました。
「うわあっ!」
間一髪、包丁をよけたオオカミのモリは、腰を抜かして床にへたりこんでしまいました。