いきなり波乱の出会いを果たした二人でしたが、ようやくそれも落ち着き、家の中に入っていきました。
「お嬢ちゃんが、こずきんちゃんだね。私は、あんたのお姉さんに頼まれてやって来た家政婦の『モリ』っていうんだ、よろしく。」「こちらこそよろしくね、きゃはっ!」
―少し変わった娘だな、まあ、腹の中に入れば何でもいい。帽子とマスクをしているから俺がオオカミだとは気付いてないようだ、グフフ―
実はこの家政婦、こずきんちゃんに目をつけて食べてしまおうと考えている、悪いオオカミだったのです。このオオカミ、一度、あかずきんのワインを襲って返り討ちにされた際に、そばにいた、もっと狙いやすいこずきんちゃんの存在を知ったのです。そこで、家政婦の派遣の偽の広告を、この家にいれておいたのです。
―調査は万全!姉のワインは、齢十二でありながら、空手道場の師範、食べる事ができなかった。しかし!元々楽して食べ物にありつくのが俺流。奴の留守中にこいつを…―