「ほう…ではこの私が貴様にとびきりの緊迫感を与えてやろうか?」
「へっ?」
突然、バタンという大きな音と共に、入口のドアが開かれ、誰かがぬっしぬっしと入ってきました。空手着を身にまとい、鋭い眼光を放ちオオカミのモリを見つめています。家政婦派遣の広告が握られているその右手は、怒りでぶるぶると震えています。
「げっ、あ、あかずきん!」
目玉が飛び出さんばかりにオオカミのモリは驚きました。その一瞬の隙をついて、こずきんちゃんは、オオカミのモリを振り払って、姉のワインの元に駆け寄りました。
「あっ、しまった!」
オオカミのモリが手を伸ばそうとしますが、その前にあかずきんのワインが立ちふさがります。
「珍しく稽古が早く済んで戻ってきてみれば。貴様ァ…今度は私の妹に狙いをつけて来たか…それほどまでして人生最終回の日を早々と迎えたいのか?妹よ、怪我はないか?」