あたし達はとりあえず2階に行った。


「ここ、あたしの部屋」



「わりいな・・・」


「ねえ、どうしたの?朝美さんって・・・」




「兄貴には、昔付き合ってた人が居たんだ。朝美っていう人だった。



朝美さんは、病弱で、心臓が弱い人だったんだ。だから、入退院を何回も繰り返してた。



でも、朝美さんは兄貴が居たから、強くなれたんだよ。


でも・・・。兄貴のことが好きで、朝美さんを恨んでた女の人が居た。


留衣っていう人だった。


その人、朝美さんの悪口とか、嫌がらせとか頻繁にやってたんだ。


朝美さんは段々と精神的にもすごい大変な状態で、心臓の発作も何回も何回も出していたんだ。



そしたら、朝美さんの親が、兄貴に言いに着たんだ。『あなたが居なければ、こんなことにはならなかった。だから、もう別れてほしい』と。



兄貴は、それが朝美さんにとっていいことなんだと思ってたんだ。


だから、兄貴は朝美さんに何もつけずに自然消滅したんだ。まあ、最終的には朝美さんの親が朝美さんに言ったんだけどな。


今思ったら、兄貴は、朝美さんと婚約の約束もしてた。まだ、中学生だったのにさ・・。


笑っちまうよな。で、これは後から聞いた話。


留衣さんが朝美さんのところに来て、『あたしね、今慶太と付き合ってるんだ。ごめんね?悪く思わないで。あなた体が弱いから、慶太も同情して付き合ってたんだと思うわ。なんであなたと別れたのかって言うと、親から言われたんだって。もう、付き合わなくてもいい、ってね。かわいそうね。慶太に捨てられた人だもの』っていったんだ。



もちろん、兄貴は誰とも付き合ってなかった。付き合いたくなかったんだろうな。でも、そんな兄貴を支えてくれた人が居たんだ。」