ハッと気を持ち直して振り返ると、険しい顔をしたお兄ちゃんが近づいてきて、わたしから先輩たちを引きはがした。
守るように抱きしめられると、ホッと一息つくよゆうができる。
「お兄ちゃん…」
「チッ、もう来たのか。足止めしておいたのに…」
「生憎だったな。お前らが望羽に近づくようなことがあったらすぐに教えてくれって、1年に頼んでたんだよ」
先輩たちをにらみながら、低く言ったお兄ちゃんの言葉で、もしかしてあの子が、と4階についたときに話した女の子の顔が浮かんだ。
先輩たちも同じことを思ったのか、犬丸先輩が「ははぁ、徹底してるッスねぇ」とつぶやく。
「言ったよな、二度と望羽に近づくなって。望羽を泣かせたことは一生許さないぞ。さっさと消えろ、クズども」



