【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。

葛谷雨蓮(くずやうれん)視点―




「柔道部だからって、腕に自信があるようだな。恐喝(きょうかつ)(くっ)しないのはご立派だが…払うものは払っておいたほうがいいんじゃないか?」


「なっ、その写真…!?ど、どうしてあんたがそんなものを…っ!」




 ブレザーの胸ポケットから取り出した写真を見て、柔道部の男はみるみるうちに青ざめていく。

 不良生徒しか存在を知らない、“なんでも屋”。

 今回の仕事は、金払いの悪い男に金を払う気にさせるというもの。




「“どうして”は意味がないだろう。問題は――」


『…全部、うそだったんですか』




 ぽろぽろと涙を流しながら、静かにこっちを見ていたあの顔が頭によぎって、一瞬、言葉に詰まった。




「…俺がこれを、誰に渡すか、ということだ」