【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



 犬丸(いぬまる)先輩がスチールラックに置かれた物の裏に、葛谷(くずや)さんのスマホを隠したのを見ながら混乱していると、未來(みらい)先輩が近づいてきた。




「さ、ちょっとこっちに来てちょうだい。望羽(みはね)ちゃんには少しだけ隠れていてもらうわ」




 うしろから背中を押されて、「え、え?」と歩くと、葛谷さんのとなりにある、かなり大きめの段ボール箱の前に立たされる。

 葛谷さんが座ったままその段ボール箱のふたを開けてわたしを見るものだから、まさか、“隠れる”って…!と目を丸くした。




「あ、あの、わたしお兄ちゃんになにも連絡してなくて、もし時間がかかるなら…」


「大丈夫、連絡なんてする必要はないわ。ほら、きゅうくつかもしれないけど、ここに入ってじっとしててね」


「で、でも、どうして段ボール箱なんかに…!」


「早くしないと客が来る」