ごくりとつばを飲んだ春宮先輩が空き教室に入っていったあと、わたしたちはもっと空き教室に近づいた。
耳を澄ませれば、なかの会話が聞こえてくる。
「藤井くん…?あなたが、私の盗撮写真を?」
「そうだよ。やっと来てくれたね」
「…なにが、目的なの?」
「そんなに怖い顔しないで。僕たちがしたことのある話って、ひとつだけだろ」
藤井…その男の人が、春宮先輩を盗撮写真でおどしてたんだ。
藤井さんと春宮先輩がしたことのある話って…?
「…まさか」
「告白の返事、考え直してくれないかな。僕がどれだけ春宮さんのことを見ているかは、充分に伝えたつもりだけど?」
え…告白の返事って、まさかおどしの目的は春宮先輩と付き合うことなの!?
びっくりしすぎて、思わずお兄ちゃんや先輩たちの顔を見て、聞き間違いじゃないか確認しようと思ったら。
雨蓮さんたちは、カラカラと扉を開けて空き教室のなかへ入っていった。



