それは、キーンコーンカーンコーン、と4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った直後のことだった。
教室の前の扉がガラッと開いて、備品室にいた、きれいな女の人が顔をのぞかせる。
「うーんと…あ、いたいた。天衣望羽ちゃん、私と一緒に来てくれるかしら?」
「えっ?」
教室のなかに視線を走らせると、美人さんはにっこりと私に向かって笑いかけた。
クラスメイトの、みんなの視線まで感じる。
「は、はい、分かりました…」
「早乙女、お前、また授業をサボったんじゃないだろうな?」
「あら、ごきげんよう、先生。かわいい生徒に向かって決めつけはよくありませんわ。授業ならちゃんと受けています」
口元に手を添えて、少し首をかしげるようにほほえむ姿は上品で、セレブなお嬢さまみたい。
ぽーっと見惚れていると、早乙女さんの視線がこっちに向いて、ハッと席を立った。
あわてて教室を出ると、早乙女さんはにこりと笑って、「それじゃあ行きましょう」と歩き出す。



