首筋に沿う唇。
乳房に吸い付く音。
長い指によって水音を立て、濡れるシーツ。
激しくわたしの中を突き上げ、わたしの頬に滴る汗。
軋むベッドでわたしは声を上げる。
蓮くんは「あ、イクっ。」と短く言うと、グッとわたしの奥で動きを止め、それからわたしの横に寝転んだ。
「はぁ、、、今日も良かったよ。」
そう言い、蓮くんはわたしの額にキスをする。
キスをする時は、いつも額か頬。
決して唇にキスはしてくれない。
行為が終わると、蓮くんはさっさと着替えを始める。
わたしは布団に包まりながら、その着替える姿を眺め、「ねぇ、蓮くん。」と呼んだ。
「ん?」
「わたしのこと、好き?」
「あぁ、好きだよ。」
「でも、、、付き合ってはいないんだよね?」
蓮くんはベルトをしながら、「そうだな。」と答えた。
「いつになったら、付き合ってくれるの?」
「それは言わないって約束だろ?」
蓮くんはそう言い支度を済ませると、「じゃあ、帰るわ。」と言い、玄関に向かって歩き出した。
「次、いつ会える?」
わたしがそう言うと、蓮くんは「また連絡する。じゃあな。」と言い、わたしの家から出て行った。
部屋に残され、孤独を感じる。
身体は満たされても、心が満たされない。
好きな人に抱かれているはずなのに、何で幸せを感じないんだろう。
蓮くんは、高校の時の同級生。
校内一のイケメンとして人気があり、わたしも蓮くんに憧れている内の1人だった。
そんな蓮くんと急接近するきっかけがあったのは、高校の卒業旅行だ。
みんな騒ぎ疲れて雑魚寝する中、起きていたのは蓮くんとわたしの2人だけだった。
蓮くんからの誘いで、みんなにバレないようこっそりと布団をかぶり、行為に及んだ。
わたしは蓮くんが初体験の相手だった。
既に経験があった蓮くんは意地悪で、わざとわたしに声を出させようとする。
「声、出しちゃダメだよ?」
そう言いながら、蓮くんはわたしの中を突き上げる。
初体験は痛いと聞くが、わたしは痛みを感じなかった。
むしろ、気持ち良さを感じた。
「俺ら、身体の相性良いのかもね。」
わたしの耳元で甘く囁く蓮くん。
そこから、蓮くんとわたしの身体だけの関係は始まり、蓮くんは進学し大学生、わたしは就職し社会人になっても身体の関係は続いているのだった。
寂しさが残る部屋の中、わたしはベッドから起き上がると、シャワーを浴び、ダボッとしたスウェットにショートパンツをはくと、スマホだけを片手に玄関に向かい、フラットなサンダルを履いて自宅を出た。
そして、向かった先は徒歩5分先にある幼馴染の鈴村匠海の家。
「匠海〜。」
インターホンも押さず、勝手にドアを開けて入る。
匠海はTシャツにスウェット姿でソファーに座り、スマホをいじっていた。
「みつ葉、お前いつもピンポンくらい押せって言ってるだろ。」
「別に泥棒じゃないんだからいいじゃん。」
「泥棒はピンポン押しません。」
「、、、そっか。」
わたしはそう言うと、ワンルームにある匠海のベッドに寝転んだ。
「それになぁ、俺がキャッキャウフフなことしてる最中だったら、どうすんだよ!」
「えっ!匠海、彼女できたの?!」
「いや、居ないけどさ。」
「なら、いいじゃ〜ん。」
そう言いながら、わたしは匠海の布団に潜り込んだ。
「あっ!お前、またうちに寝に来たなぁ!」
「だって、匠海の布団落ち着くんだもん。」
「自分の家があるだろ。」
「おやすみ〜。」
そう言った瞬間に眠りに落ちるのが分かった。
匠海の布団は、自宅の布団よりも落ち着く。
わたしはいつも寂しさを感じると、匠海の家に来るのがお決まりになっていた。
目が覚めると、部屋が薄暗くなっていて、匠海はソファーの上で寝ていた。
スマホで時間を確認すると、20時12分だった。
「お腹空いたなぁ、、、。」
わたしはベッドから下りると、匠海の側まで行き、横向きになって寝ている匠海の上に抱き着くように乗っかった。
「、、、重い。」
「ねぇ、お腹空いた。」
匠海は眠そうな目を開けると、「今何時?」と訊いた。
「20時15分になるところ。」
「もうそんな時間かぁ、、、。」
「ねぇ、九ちゃん行こう!ラーメン食べたい!」
"九ちゃん"とは、匠海の家の2軒隣にあるラーメン屋"九次郎"のことだ。
匠海は「九ちゃん行くかぁ。」と言うと、それから「とりあえず、俺から降りろ。」と言った。
わたしが匠海から降りると、両手を上げ伸びをする匠海。
そして、匠海は財布とスマホを持つと、「行くぞ。」と言い、玄関に向かって歩き出した。
そのあとに続くわたし。
九ちゃんは、この辺では一番遅い時間まで営業しているラーメン屋さんで、大体1人で食べに来るお客さんが多いラーメン屋さんだった。
「いらっしゃ〜い!」
体格が良く、頭にタオルを巻く店主が元気良く迎えてくれる。
わたしたちは、空いているカウンター席に座った。
「みつ葉は醤油だったよな。」
「うん!」
「すみませーん。醤油と味噌、一つずつお願いしまーす。」
匠海が注文すると、「はいよー!醤油と味噌ね!」と言う店主。
お店の中は、仕事帰りのようなサラリーマンが多く、奥のテーブル席では男子学生たちがガヤガヤと男子特有のノリで騒いでいた。
「お2人さん、いつも2人で来るけどカップルかい?」
店主のおじさんが唐突に質問を投げかけてきた。
「ただの幼馴染ですよー。」
わたしがそう答えると、おじさんは「その割に仲良いなぁ。」と言った。
「わたし、好きな人がいるんで。」
「、、、俺だっているし。」
匠海の言葉にわたしは驚き、「えっ!匠海って好きな人いたの?!初耳!」と言った。
「だって、初めて言ったからな。」
「ねぇ、どんな人?職場の人?」
「いや、同級生。ずっと想い続けてるんだけど、なかなか振り向いてくれないんだよなぁ。」
「同級生?誰だろ?でも、なかなか振り向いてくれないなんて、その人、男見る目ないね!匠海は優しいし、思いやりがあるし、そこそこイケメンだし。」
「そこそこって!」
「でもなぁ、匠海に彼女できたら、匠海の家行けなくなっちゃうなぁ。」
そうこう話しているうちに、「はい、お待ち〜!」とラーメンが出来上がった。
「美味しそう!いただきまーす!」
わたしたちはラーメンをすすり、その熱さに身体が温まっていく。
ラーメンが食べ終わると、わたしたちは「またね〜!おやすみ!」とそれぞれの自宅に帰るのだった。
ある日の仕事帰り、バスに揺られていると、バッグの中でブーッとスマホが震えた。
スマホを取り出し見てみると、蓮くんからのLINEだった。
{ これから会える?)
わたしは蓮くんからのLINEを見ると、いつも複雑な気持ちになる。
蓮くんがわたしに会いに来てくれる。
でも、蓮くんが求めてるのは、わたしの身体だけ。
必要とされているのに、切ない気持ちになる。
わたしは「いいよ。」とだけ返事すると、スマホをバッグに戻した。
蓮くんは、わたしが帰宅してすぐにやって来た。
丁度、仕事着から部屋着に着替えている途中に部屋に上がってきて、「服なんて着なくていいよ。」と言い、わたしをお姫様抱っこすると、ベッドへ運び押し倒す。
首筋を舐め、吸い付き、ワイシャツのボタンを一つ一つ外しながら、蓮くんの唇も下へと這わせていく。
片手でブラホックを外し、乳房を舐め回しながら、下も脱がせていき、スルッと蓮くんの細くて長い指が入ってくる。
蓮くんの指が中を押すと、まるで水鉄砲のように潮が吹き出てくる。
「今日もベショベショだな。」
蓮くんは嬉しそうにそう言うと、ベルトを外し、ズボンとボクサーパンツを脱ぎ捨て、わたしの足を開かせた。
そして、わたしの中へグッと入ってくる。
「ぁあ、、、みつ葉の中は入れただけで気持ちいんだよな。」
それから容赦なく、腰を動かし、奥へ奥へとわたしの中を突き上げる。
「、、、っあ、、ぁあ、、、。」
「ほら、もっと声出せよ。」
蓮くんはそう言うと、更に強く激しく腰を動かし、わたしの中をかき回す。
わたしは今日も蓮くんが満足するまで、抱かれ続けた。