「わたしだって、普通に生きられるんだったら普通に生きたかった…!」
あの日、涙を流しながら叫んだ言葉。
手首を切って、薬を飲んで、現実から逃げてた。
そんなことが厳しいあの人にバレて、色々なことをたくさん言われた。
どんなに厳しくても、わたしはなぜかあの人のことが好きだった。
でも、そんな気持ちも忘れるくらい、好きな人からわたしがしてきたことの全てを否定されるのは苦しかった。
泣き叫んだ後、過呼吸になりあの人に背中を撫でられながら絶望した。
あの人が言ったことは、わたしのために言われたことだってことはわたしにだってわかっていた。
とくに薬を飲み続けるのは危険なことだって、そんなの理解してたはずだったのに、好きなあの人にだけはこんなわたしを見られたくなかったし、否定してほしくなかった。
過呼吸が落ち着き、怒鳴ってしまった罪悪感と、少しの気まずさで小さな声でありがとうと呟き部屋に戻る。
ベットに潜り込み、小さな声でなく。
わたしが泣くことではない。
でも、この涙は止められなかった。
しばらく泣いて落ち着いた頃、くすりを置いてきてしまったことに気がついたが、取りに行く気にはなれずいつのまにか眠っていた。
ドンッと大きな音が鳴り目が覚める。
何事かと思いリビングへ行くとあの人が倒れていた。
慌てて近寄る。
そばにはわたしが忘れたくすりの瓶が転がり落ちていた。
50錠あるはずのくすりは一錠も残っていなかった。
焦ったわたしは急いで救急車を呼びあの人を病院へ連れて行った。
幸い大事には至らず翌日には目を覚ました。
「飲めば、君の気持ち、少しはわかると思って…」
なんて少し笑いながら言うあなた。
わたしは何も言えなかった。
「わたしだって普通に生きれるなら普通に生きたかった…!」
君が切っていること、くすりを飲んでいることを知った日、初めて大きな声で言い返してきた日。
僕はあの日をずっと後悔していた。
仕事が早く終わり、サプライズで君を驚かせようと連絡をしないで家に帰った。
気づかれないようにそっと部屋に入ると、大量のくすりを持った君の姿。
そばにはカミソリも落ちていて赤く染まっていた。
その瞬間頭が真っ白になった。
「なんでそんなことしてるの?!危ないでしょ‼︎僕に相談してくれたらよかったのに‼︎僕のこと頼ってくれたらよかったのに‼︎なんで…!自分の体傷つけて何がいいのさ?!」
言ってからしまったと思った。
君は今までまで見たことのないくらい顔を赤くして、青くして、手に持っていたくすりをボロボロと落とした。
だんだんと目に涙が溜まっていき、こぼれ落ちた。
泣き叫んだ後過呼吸になった君。
僕は、こんな弱い君を知らない。
いつだって笑顔だった。
明るく笑い、すずのような綺麗な声で楽しそうに話す君しか僕は知らない。
背中を撫でながら、僕は後悔した。
もっと君のことを見ておけばよかった。もっと発言する前に考えればよかった。
ずっとそばにいたのに、君の少しの変化にも気がつけなかった。
過呼吸が落ち着き君は部屋に戻ってしまった。
力が抜けその場にへたり込む。
部屋を見渡すと、君が残して行ったくすりがあった。
これを飲めば、君の気持ちが分かるかもしれない。
そう思い、その場にあったくすりを全て飲んだ。
でもいつのまにか意識は飛び、目を覚ました時は病院だった。
泣きながら心配したと言う君。
「飲めば、君の気持ちがわかると思って…」
そんな僕の言葉にバカじゃないのと怒る君。
いろんな君が見れた。
それだけでよかったかもしれない。
だって、どんな君でも好きって言う気持ちは変わらないってことがわかったから。
驚いて酷いことをたくさん言ったけれど、君を好きなのは変わらなかったから。

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