恋愛モードにスイッチ

「はいっ」
早苗、拓也と同僚の二人にチョコレートをデスクの上に置いた。直後、早苗は駆け足で去って行った。拓也は嬉しかった。アパートに帰った拓也は妄想にふけっていた。こたつのテーブルの上に、早苗から貰ったチョコレートを置いて。とても、いただく気にはなれないでいた。翌日、会社へ出勤した。ロッカーの入り口で早苗が駆け足でやってきた。拓也は一つのメモ用紙を受け取った。なんだろうか、そこには、携帯の番号が書いてあった。早苗は、なんかあったら、電話してね。変な電話はしないでよと、一言言って去って行った。仕事場へ出向き同僚に聞いた。
「早苗さんから電話番号。お前も貰った」
「いや」
拓也は同僚に一言
「ホワイトデーは、二人で早苗さんを食事に招待しよう」
同僚は、1つ返事でした。しかし
「なんか、だし煮使われたみたいで、嫌だなあ」
拓也は、これは義理チョコOKだが、チャンスと思った。
仕事が終わりアパートへ戻ると、早速、この番号に電話をかけた。
「今度、ホワイトデーに食事を二人からのプレゼント」
早苗は
「いいよ」
小さくガッツポーズ。ここまでは、セオリー通りに進んでいるかに見えた拓也であった。

イケメンの虜

早苗は携帯をガラケーからスマホに変えていた。そこへ、入社1年目の高田直人がやって来た。
「藤原さん、LINえやらないっすか」
直人は他にも社内の男女を問わず声を掛けていた。
「早苗さん、スマホに変えたみたいで、バッチリ、LINEに誘いましたよ」
拓也は、早苗と言う言葉にドキッとした。昼休みに入り早苗が拓也の側に駆け足でやって来た。
「お食事、高田君も誘っていいかな」
拓也は眉間にシワが入りそうになったが、何食わず顔で、OKと返事をした。
「直人さんと拓也君と一緒に食事するのも初めてだし、プライベートで会話するのも初めてね」
三人は北九州にある、リーガロイヤルホテル小倉でディナーを。直人も拓也はこの歳になって、こういう所で食事をするのは初めてだった。拓也はフォークを持つ手が震えた。
「ガチャ」
拓也が震える手で、器を落としてしまった。早苗は一言
「クスッ」
三人の話題は直人がリードしていた。早苗は、三代目のがんちゃんの大ファンだと言うことが判明した。拓也は首を傾げた。誰だろう、三代目とは?、?直人と早苗は会話が弾んだが、拓也は沈黙が続いた。早速、アパートへ帰った拓也はインターネットで三代目を検索した。そういや最近はテレビは殆ど見ないでいた。レコード大賞もとって紅白にも出ている。拓也は、早苗が最高と言っていたYOUTUBEのラブソングを聴いてみた。すげえなぁ、こんなに人気があるのも頷けた。今度は三人でカラオケに行く約束をしたのであった。