緩いパーマに耳にかかるか、かからないかくらいの長さの髪型。
黒縁眼鏡の奥には、キリッとしたクールな瞳。
キチッとしているようで少し着崩しているお洒落な服装。
背が高くてスラッとした体型。

彼は今年、退職してしまったシステム全般を担当していた山本さんの後任で中途採用で入社してきた薗田勇士さん。

薗田さんはいつも一人、食堂で社食を食べ、勤務中も必要最低限のことしか話さず、誰とも仲良くしようとしない、定時になればサッと退勤して行く人だ。

すると、「なーに見てんの?」と肩を叩かれ、ふと見上げると、そこには同じ部署で同僚の佐野由美子が立っていた。

「あぁ、由美子。」
「ん?薗田さんのこと見てたの?」

そう言いながら、由美子はわたしの隣に座った。

「薗田さんって、いつも一人だよね。」

わたしがそう言うと、由美子は社食のカレーをすくいながら、「一人が好きなんじゃない?でもさ、薗田さん普通にしてたらイケメンなのに勿体ないよね。」と言うと、カレーを口に運んだ。

「何?薗田さんのこと気になるの?」
「気になるってゆうか、、、。」
「なごみには、航太がいるじゃん!」
「やめてよ。わたしは、航太みたいなの苦手なんだから。そう言う由美子は、航太のこと気になってるくせに。」

航太とは、商品部でわたしと同じ28歳の坂巻航太のことだ。

航太はこの本社の中では"イケメン"として通っているが、ナルシストで馴れ馴れしくてわたしは苦手だった。

しかし、由美子はそんな航太にひそかに恋心を抱いているのだった。