高校生活2度目の夏休みはあっという間に過ぎ、二学期。夏休みはものすごく楽しかった。あーちゃんと遊んだり、家族旅行をしたり、バイトを頑張ったり、100点満点の長期休みだった。
由真先輩とは、たまにメッセージのやり取りをして、私の誕生日にはおめでとうとお祝いの言葉をくれた。だから新学期が始まってすぐの先輩の誕生日にも、同じようにおめでとうのメッセージを送った。
それから2週間、先輩とは会っていない。やっぱり学年が違うと、偶然が起こらない限り校舎で会うことはほとんど無いらしい。
なんて、そんなふうに先輩のことを考えていた。だから、油断していた。
「あ……」
「あら、八代さん。久しぶりね」
読みたい本があった。星谷くんとの色々があったからといって、決して本を読まなくなったわけではなかったから。
2年生になって初めての図書室。星谷くんがいるかもしれない、と少しドキドキしていたけれど、受付カウンターには別のクラスの図書委員がいた。
だから完全に、抜けていた。
「お久しぶりです……朝倉先生」
ここには、先生がいるってこと。
本を見つけるよりも前に先生が視界に入って、思わず声が出てしまった。
先生は2年では私のクラスの現国担当じゃなくなったので、会うのは本当に久しぶりだ。
「元気?」
「元気、です」
「ならよかった」
「先生は……その……」
顔を見たら聞きたいことが次々と浮かんでくる。そしてそのまま言葉にして投げてしまいたくなるのを、理性が喉の奥で食い止める。
さすがにこんなところでは──
「八代さん、時間ある?」
「えっ」
「手伝ってほしいことがあって」
「あ……はい……」
だけど先生には、私の胸の中が透けて見えていたようで。
いつの日かと同じように、図書準備室へ招かれた。