「はーーー、陽織とまた同じクラスでよかったよーーー」

「ね、私も嬉しい」



寒さも和らいで、桜が散り始めてきた4月。

私たちは、高校2年生になった。



ドキドキのクラス替えの結果は、2年3組。しかもまたあーちゃんと同じクラスだった。一緒がいいと思っていたので、めちゃくちゃほっとしている。


名前順により、いつも通り窓側の席。教室の窓からは外の桜がよく見える。春風に花びらが舞って地面に落ちていく様子がなんとも綺麗で、つい目で追ってしまった。



「ひーおり?」

「ん?」

「ぼーっとしてる? 大丈夫?」

「あ、大丈夫大丈夫。桜綺麗だな〜って」

「ほんとだ! 綺麗〜」



外を眺めていれば、あーちゃんが心配そうに顔を覗いてきた。きっと、私がまだ気にしていると思っているのだろう。


彼のこと──星谷くんのことを。


星谷くんとは、クラスが離れた。彼は8組。普通に生活していたら、きっと廊下ですれ違うことも少ないだろう。


クラス替えの表を見た時は、安心したような、ちょっと切ないような、そんな気持ちになった。



星谷くんのことは、ちゃんと終わらせることができた、と思う。


あの日、バレンタインの翌日は、偶然にも発熱してしまって。学校を休んでしまったせいで、きっと星谷くんは気まずかっただろうし、上手くいかなかったことは事前にあーちゃんに連絡していたので、あーちゃんからは心配だという旨のメッセージをたくさん貰った。


体調が治って、学校に行って。そしたら星谷くんと話さなきゃいけない。そんなことを布団の中でずっと考えていた。正直、学校に行くのが怖かった。

彼へ向けている気持ちに終わりを告げるのが、ただ悲しかった。



それでも、あのままってわけにはいかないから。きちんと話した。真正面から受け止めた。


苦しかったけれど、嬉しい言葉も貰えて。思っていたよりも、しんどくはなくて。


私の恋は、そうして完全に終わってしまった。