「えっ、なになに、めっちゃいい感じじゃん!」

「……やっぱりそう思う?」

「思う思う! あーん、よかったねぇ、陽織」

「うん」



冬休みが終わって新学期。家族旅行に行っていたあーちゃんとは休み中に会えなかったので、クリスマスのことをやっと今話せたところだ。

そうすればやっぱりあーちゃんは、自分のことみたいに嬉しそうに聞いてくれた。



だけど嬉しい話はここまでで、私にはひとつ懸念がある。



「……で、なんだけど。バレンタイン手作りしようと思ってて」

「いいじゃん! って、まだ1ヶ月先だけど」

「そうなの。でもね、今から練習しないとやばくて……」



そう、由真先輩からアドバイスをもらって、バレンタインのお菓子を手作りすることに決めたのだけれど、実はお菓子作りに関して全く自信がないのだ。


きっかけは小学生の頃、みんなが友チョコを交換しようとか言うから作ってみたはいいものの、盛大に失敗をして私だけあげられなくて。それからはずっと、誰かにあげるとなったら手作りではなく既製品をあげていた。


だから今、お菓子作りなんてできる気がしない。



「苦手? 得意そうに見えるけど」

「うん……チョコ溶かしてそれをまた固めるくらいしかできない……たぶん……」

「あらら、それは練習した方がいいかもね?」

「じゃないと星谷くんのお腹が大変なことになっちゃう」

「でも大丈夫だよっ。今の星谷くんなら、陽織があげたものならなんでも喜んでくれそうじゃん」

「だといいんだけど……」



星谷くんが甘いものを食べられることは事前にリサーチ済みだ。

せっかくあげるなら、美味しいと思ってもらいたい。溶かして固めるだけじゃなくて、できればもうちょっと凝ったもので、だけど私でも簡単にできるもの。



もちろんひとりでは100パーセント無理。普通なら絶望的なのだけれど、私には当てがあった。