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私はデイケアではあまりスマホを触ることがない。外に出ていると、真子がやってきた。「LINE交換してください」と言われ、私はびっくりした。若い女性から頼まれたのだ。しかし、塚本さんがスマホを持っていないからと思ってしまった。この瞬間はこの物語のキーワードでもある。何か私と真子との間に潜在意識の記憶があったのだろうか。スマホをかざすと、なかなか友達登録ができない。私はやめようかと言った瞬間、運命の電波が繋がった。すかさず、その日の夜にLINEの返信がきたのである。
こんにちは! 龍太郎さん、体調大丈夫ですか? 寿司屋は、龍太郎さんが元気な時にいつでも行けるから、また行きましょうね! 楽しみにしてます。明日は休みですね。何をしますか?
休みの日は、堀田さんから新作の小説「意識の中の消しゴム」のあらすじを読んでもらったら、次が読みたいと好評を得たので、続きの執筆をします。もちろん、夢は作家なんです。モチーフは昔ですが、東京ラブストーリーのようなストーリーが好きで、自称恋愛小説家です。たぶん、職員の岡本さんに「普段は物静かでおとなしい性格」と言われる私の意外性のある一面です。森田さんに影響されて、競馬の分析もスポーツ新聞を買って来週の会話のネタにしようかと思っています。最近、デイケアに来るのが面白くて楽しいです。今日は、朝、診察の時とナイトの時に話せましたね。さっそくLINEしてみました。また明日、元気に会いましょうね。この頃から私は文章を書いて楽しむようになり、小説を書くようになったのである。しかし、私はこの真子とのLINEのやり取りを通じて、不穏な予感が走った。この日から私はLINEするのをやめた。過去の出来事が脳裏をかすめたのである。