それから八年後。私は一人前の治癒師となってリンデンバウム国の軍に所属している。
引き取られてから従軍治癒師のエドワード・リンデンバウム様に私は師事した。
エドワード様は第三王子だ。金髪のマッシュヘアで顔立ちは整っており、笑うと太陽みたいに明るい。そして、面白いことが大好きな人だった。出会ったときは私の二歳上の十二歳だったのに、軍で治癒師として活躍していたのだ。
私はエドワード様に治癒魔法をたくさん教わった。そして、エドワード様が治癒魔法をもっと良いものにしたいと研究されていることを知り、私もその研究に協力した。
その中で、治癒魔法は細胞を無理やり活性化して傷の治癒をしていることが分かった。私は前世の知識を使いながら、治癒魔法で傷口を縫うなどの最低限の治療をして、あとは薬草やポーションで治していくという方法を開発した。この世界では薬草などを使う治療法は庶民が使うものだ。だから、治癒魔法が使える軍で一般的な方法ではなかった。治癒魔法を使うと、反動として酷い痛みに襲われ、三日から一週間寝込んでしまう。しかし、私の方法は反動を軽減できることがわかったのだ。私の治療法はすぐに軍の中で評判になった。
おかげで給金が増え、アイリーンに仕送りできるお金も増えた。アイリーンはそのお金を村のために使い、村は段々新しい農業用具や設備が揃ってきて、収穫できる量が増えたらしい。少しずつ貧しさが改善されているそうだ。
私はそれが嬉しくて堪らない。もっと稼いで、美味しいものを食べさせてあげたい。その一心で私は軍に貢献した。