「アル、やっと見つけた!」
 私は横から来たものに弾き飛ばされる。アルバート様は大丈夫かと慌てて顔を上げると、レティシア様がアルバート様を支えていた。レティシア様は優しい笑みをアルバート様に向けていた。しかし、厳しい顔をしたアルバート様は自分の肩を支える白い長髪の美女を突き放す。
「……レティシア。エミリーを突き飛ばすとは何事だ。それにアルと呼ぶのを許可した覚えはない」
「だって、アルバート様に触れてる無礼者がいたから心配になって……」
「俺を治療してくれた治癒師だ。レティシア、謝れ」
「はぁい」
 まじまじと見つめると、ふわふわした笑みを浮かべていたレティシア様はキッとこちらを睨みつけてきた。
「勘違いしてごめんなさいね。アルバート様の治癒はこちらで受け持つから、さっさと別の場所に行きなさい。他の兵士が待っているでしょう?」
「他の兵士の治癒に行くのはお前だ、レティシア」
 アルバート様はレティシア様と距離をとって、呆れた声を出した。