アルバート様の眉間の皺が少しずつ減っていく。瞼も重そうだ。
「眠ってしまって大丈夫ですよ。もう怖いものはありませんから」
「……っ」
安心させるように柔らかく微笑む。私の顔を見たアルバート様は親を見つけた子どものように安心した顔をした。
早く治してあげなきゃ。この信頼に応えたい。
私は麻酔が効いてきたのを確認しつつ、手のひらに込める力を治癒魔法に変えていく。私の手のひらの光は緑色から金色に変わっていった。私は目を閉じてアルバート様の怪我の状態に集中する。
やっぱり骨が折れている。骨はワイヤー状にした治癒の光で固定する。治癒の光は固形に変化させることができるというのは私の発見の一つだ。この治癒の光でできた物質は時間が経つと自然に体内へ溶け込む。だから、とても重宝している。
骨を固定したら次は切創の縫合だ。今度は治癒の光を細くて頑丈な糸に変化させ、傷ついた血管や傷口を縫っていく。少しずつ丁寧に縫うと綺麗に治るのだ。
三つの切創を縫い終えた私は持ってきた治療道具の入った鞄から包帯と添え木を取り出し、患部に巻いていく。一通り巻き終えてからアルバート様の顔を見ると、先ほどより顔色が良くなってきていた。