「あ~…どうすんだよ俺の口直し」

「唐揚げ食べな」



頑張ってハンバーガーを食べてる夏葉の口に、爪楊枝で唐揚げを横から詰めた。



「ちょっ、やめろ」

「口直しできた?」

「…まあそういうことにしといてやる」



素直じゃないね!



そんなやり取りをしていたら渋滞をようやく抜けて、お店に着いた。



お店の前で悠星くんがシャッターを下ろそうとしてる。



まだ本来の閉店時間まで2時間くらいあるんだけど!



「悠星くんちょっと待って!」

「ん? おー、穂風」

「お店閉めるの早すぎ!」

「いや、今閉めればあと2時間くらい波乗りできっかなって」

「ここにお客さんいるから閉めんな!」



あたしがそう言ったら渋々という感じでシャッターを降ろす手を止めてくれた。



もう~…。



夏葉が「誰?」という感じでこっちを見る。



「あ、悠星くん。このお店のオーナーでプロサーファー」



あたしが紹介したら、悠星くんがぺこっと夏葉にお辞儀した。



夏葉も軽く会釈。



「このイケメン誰? 穂風の彼氏?」



悠星くんが聞いてきた。



ちょっ…。彼氏じゃないし…。



「最近引っ越してきた夏葉。プロのサーフフォトグラファーだよ」

「へ~。すげえじゃん」



雑!



まあ、これが悠星くんだけど。



悠星くんに続いてお店に入る。



やや狭めの店内には、所狭しとサーフグッズが置いてある。



あっ、あたしがこの前取材されたサーフ雑誌もある…。



なんか恥ずかしいから夏葉には黙っておこう。



と思ったのに、悠星くんが余計なことを…。



「穂風が出てた雑誌もあんぞ~」



その言葉に夏葉が反応した。



「どれ?」

「あれ」



悠星くんがレジから雑誌を指さした。