シートベルトをして、出発した。



だけどしばらくして、渋滞にはまる…。



じりじりと動かない車。



そして鳴るお腹…。



「やべ~、失敗した。今日日曜日だったわ…」

「あたしも完全に失念してた~…」

「これなら原付の方が早かったな…。悪い」



日曜日のイチサンヨン(※国道134号線のこと。湘南の有名な海沿いの道路)が混まないわけないもんね…。



原付だったら小回り利くし…。



「他に道知らねえ?」

「運転しないからわかんないや…」

「よっし、じゃあ作戦変更」



夏葉はそう言って道路から抜けて脇道に逸れた。



「コンビニ行って軽くなんか食ってから行くぞ」

「そんなにお腹空いてる?」

「朝からほとんど食わないで出てきたからな~」



なんでそんなに…。



どうせ遅いんだからゆっくり食べてくればよかったのに…。



「そんな早く海入りたかったの?」



あたしがそう言うと、赤信号で止まった夏葉が、楽しそうにハンドルに顎を乗せて「んー?」とこっちを見た。



何それ…。



なんか可愛いんだけど…。



「穂風いねえかなーって」



えっ…?



心臓が弾み出す。



ドッキドキしてる…。



なぜか暑い…。



青信号になって、前を向いて走り出した。



夏葉が笑う。



「うそうそ。半分冗談」



だ、だよね。



って…半分…?



もうわけがわからないよ~…!



コンビニに着いて、駐車場に車を止めた。



バックで駐車する顔もかっこいい。



真剣だけど余裕そうな表情。