どのくらいの時間がたったであろうか。


亜季が少し落ち着いたのを確認すると、テツオは思い切ったかのように言った。


「なあ、亜季。」

「…なに?」

のどを詰まらせながら顔を上げた泥だらけの亜季の顔を見ると、テツオの心は固まった。


「俺、可能性にかけてみようと思う。」

「可能性?」

亜季の目に、小さな光が宿った。


「ああ。臨床実験の検体になろうと思う。」

「検体?」

亜季はテツオの言っている意味が分からずに、そう尋ねた。