事情を知らないなら、口挟まないでよ!
私はまた、フェンスに手をかける。

「待ってくださいって!
理由!
そう!
理由ぐらい説明したらどうなんですか!?」

「理由なんて言ったって何も変わらないわ!

1億円の借金で風俗に売り飛ばされるのよ!

どう?
あなた、何とかできる!?

さっさと死なせてよ!」

私は言う。

「何とかできるかもしれませんよ…?

あなたの自殺を止めるつもりはありません。
だけど、一旦僕の話を聞いてくれませんか?
それから、死にたいなら死ねば良い。」

その人はそう言った。

「嘘よ…
何とかできるハズ無いわ…」

「僕はIT会社の社長です。