「いや、だって、俺結構友達に変態って言われるし」
「なにそれ……すっごい爆弾発言なんだけど……え、なんで?」
あたしの言葉に、柊くんはまたしても困った顔をして……そしてあたしをチラッと見た。
「誰かさんのせいで」
「え……あたしのせい? なんで?」
「さぁね。自分の胸に手を置いてよーく思い出してみれば分かるんじゃねぇ?
さ、そろそろ帰るか。早く用意しろ」
柊くんの隠れ家に通い詰めるようになって1年間。
柊くんは帰り道必ずあたしを送り届けてくれる。
あたしが勝手に来てるんだし、別にいいって言っても、必ず。
そんな優しさに嬉しくなりながらも……
その理由を知りたがってる自分がいる。
そして、その理由があたしの望むモノじゃなかった場合の事を恐がる自分がいる。
結局、どんな場面でも、恐がりの部分が少しだけ前者よりも大きくて。
あたしは自分から、この関係を変える事が出来ないでいる。
その間に大きくなっていく『好き』が、胸をついて痛い。
際限なんて知らないように大きくなり続ける想い。
こんなに想ってるのに気付きもしないなんて。
やっぱり柊くんは……
「バカ……じゃなかった。変態」
「変態じゃねぇよ。間違っても沙織が言うな。変態の原因はおまえ以外何者でもねぇんだからな。
責任とれよな」
取るよっ!!
っていうか取っていいなら全然取るから!!!
だから……「好き」でも「付き合ってやるよ」でもなんでもいいから、あたしとの関係に名前を持たせてよ。
……でもどうせなら「愛してる」がいいけど。
「沙織以外、愛せない」とか、そんなちょっとさむいくらいの言葉がいいけど。
臆病な上に、八つ当たり性質。
ただ待ってるだけじゃどうにも出来ない事くらい、そろそろ気付いてきてる。
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