柊くんとあたしの関係は……微妙、だと思う。
柊くんはたまぁに、さっきみたいな期待させるような事を言うんだ。
あたしの事好きなのかもしれないって思わせるような、思わせぶりな事を……
でも、その本質には決して触れない。
それが何でなのかは分からないけど、臆病なあたしに理由を聞けるハズなんかはなくて。
だって、聞ける訳ないじゃん。
恐くて告白すら出来なくて、でも、構って欲しくて嘘ばっかり付いちゃうようなあたしに、そんな勇気が出せる訳がない。
もともと引っ込み思案って訳でもないけど……だけど、どっちかって言わなくても臆病だと思う。
友達関係だって、ちょっと誰かが不機嫌なだけで何かしちゃったのかも、とか不安になちゃうし。
バイトとか、そういう新しい場所に飛び込んでいくのって不安で仕方なくて、しまいには胃が痛くなるし。
入学式とか緊張で倒れそうだし。
クラスに知ってる人が1人もいなかったら間違いなく倒れるし。
……そんなあたしに、告白とかそんなの……無理に決まってるもん。
だから……
だから、ずるいのは承知で柊くんの気持ちを探ってるのに……
柊くんはそんなあたしの考えを見透かしてなのか、何も言ってくれない。
もしかしたら……あたしの事なんとも思ってないだけかもしれないけど。
……あんまり考えたくないけど。
ふぅ……ともう一度ため息を吐く。
白く色づいた不満の思いの結晶が、静かな空気に溶け込んでいく。
この気持ちの1/100でも気付いてくれればいいのに……
「柊くんのバカ」
「は? バカじゃねぇし」
「ムキになるとこがバカなのっ! じゃあ変態っ!!」
「……」
「……なんで否定しないの?」
あたしが表情を歪めると、柊くんは困った顔して笑う。
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